K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM1043) Bennie Maupin: The Jewel In The Lotus (1974) ECMのMwandishiバンド

[ECM1043] Bennie Maupin: The Jewel In The Lotus (1974)
A1.Ensenada(Bennie Maupin) 8:05
A2.Mappo(Bennie Maupin) 8:25
A3. Excursion(Bennie Maupin) 4:47
A4. Past + Present = Future(Bennie Maupin) 1:45
B1. The Jewel In The Lotus(Bennie Maupin) 9:57
B2. Winds Of Change(Bennie Maupin) 1:25
B3. Song For Tracie Dixon Summers(Bennie Maupin) 5:14
B4. Past Is Past(Bennie Maupin) 3:52
Bennie Maupin(reeds, voice, Glockenspiel), Charles Sullivan(tp on A2, A3), Herbie Hancock(p), Buster Williams(b), Frederick Waits, Billy Hart(ds), Bill Summers(perc)
Design [Cover]: Betye Saar
Engineer [Mix]: Jan Erik Kongshaug
Engineer [Recording]: Dennis Ferrante
Photography By [Cover]: James Lott
Recorded March 1974 at The Record Plant, New York City.
https://ecmrecords.com/shop/143038750654
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[2015-10-26] ECMのMwandishiバンド

休日2日は出勤。なんとなくなあ、と月曜日の朝を迎えている。自宅で余裕がないとレコードを聴かない。

このアルバムは不思議なアルバム。1970年代の「クロスオーバー」の本流、ハービー・ハンコックの世界をECMというパッケージに入れたもの。せの成否、というと、ECM的な流れ、ハービー的な流れ、ともに中途半端になったのではないか。ECMのMwandishiバンド、という奇矯な取り組みは、奇矯である故に単発であり、モウピンもハンコックも以降の吹き込みはない。

ハンコックのSpeack like a child (Blue note,1968)の世界に淡いファンク的なビートをつけた1970年代はじめのMwandishiバンド。商業的には今ひとつだったようだけど、ハンコックの自伝のなかでは、その浮遊感が生み出す恍惚感、バンドの一体感について高い評価を与えている。1972年初頭に録音されたその第二作Crossing, 第三作SextantでのメンバーはHerbie Hancock(p), Eddie Henderson(tp), Billy Hart(ds), Julian Priester(tb), Buster Williams(b), Bennie Maupin(reeds)であり、まさにこのアルバムの核心部と重複する。そう、ハービーのバンドのECM吹き込みそのもの。メンバーを大幅に変えたHeadhuntersの吹き込み・発売・商業的成功の後。自伝のなかで、ハービー自身はこのMwandishiバンドへの高い評価と愛着を云っている。だから、その最期の吹き込みを違った形で、商業的制約が「多分小さい」ECMでやりたかった、のではないか。

さて内容は、ワーナーでのMwandishiバンドでの録音と似たようなもの、淡いファンク的なビートの上での浮遊感、ではあるのだけど、ECM的な味付け、浮遊感の強調と、脱ファンクのような感じになっている。つまり、ひたすら浮遊する感じになっていて、印象に残るソロがほとんど無い、という実験作、になっている。なんとなく、ピアノトリオの音量を下げたSpeack like a childのような、気持ちの悪さ、がある。悪いアルバムじゃないのだけど、ECMが黒人のファンクに一番接近したときの記録、としての価値はあると思う。その後、MwandishiバンドのJulian Priester(tb)の吹き込みを2枚くらいやっているので、聴くのが楽しみになってきた(何と次に1044と、今気がついた!)。

また録音的にはニューヨークで吹き込み、mixはいつものメンバーでそこそこECM的ではあるのだけど、透明度はさほどなく、温度はやや高い。熱めの録音をドイツで冷ましたような感じ。微妙にECM感から外れている。

それにしても、Mwandishiバンドからファンクを脱臭すると、初期Weather reportになるが面白いなあ。この流れがJAPO(ECMの傍系レーベル、アイヒャーがプロデュースしていない)でのOMになっているのが、今朝の発見。 

Jewel in the.. -Reissue-

Jewel in the.. -Reissue-

  • アーティスト:Maupin, Bennie
  • 発売日: 2019/05/17
  • メディア: CD
 

蓮の花、は彼ら(ハービーとか)が帰依している宗教の影響だろうね