K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

近藤等則:Metal Position (1986) ヒステリックで、自らを哄笑するようなシニカルな音世界

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近藤等則 IMA: Metal Position (1986, Polydor)
A1. Night Drive(近藤等則) 5:36
A2. Cerezo Rosa (Louiguy, Marc Ageron) 3:59
A3. Metalic Bamboo(近藤等則) 4:49
A4. Black Dance(近藤等則) 4:19
B1. We Know Smart(近藤等則) 5:15
B2. Tea Girl(近藤等則) 5:12
B3. Tricky Dicky Fa Fa(近藤等則) 4:31
B4. Kaze(近藤等則) 2:42
近藤等則(tp, voice), 富樫春生(key), 酒井泰三 (g), ЯECK (Friction) (g, b, key, voice), Rodney Drummer(b), 山木秀夫(ds)
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先日,ふと浅川マキのヴィデオ「幻の男たち」をみた。1984年の京大西部講堂でのライヴ。そのときの気分は、もう少し前のマキさん、萩原信義さんのギターも聴きたかったので紀伊国屋での大晦日ライヴ(1971年)に変えちゃったのだけど。

この「幻の男たち」で全面に出てくるのは近藤等則。ボクも随分この近藤等則の音が好きで、随分とながいあいだ聴いている。1984年頃というと,まだジャズファンのなかでもあまり知名度はなかったけど。偏執的なFree Jazzファンの一部に知られていた、感じ。むしろ浅川マキさんのファンの方面で知られていたのかもしれない。

その頃だったか、立川の昭和記念公園で聴いた近藤等則の新しいバンド「近藤等則IMA」には驚いた。ロック・フュージョン系の奏者に激しいビートを打たせ、エフェクターを効かせたトランペットが天を衝くような音を出していた。ダンスミュージックではあるのだけど、聴いたことがなかった音。それまでの近藤、Improvised Musicという名の解体された音楽、もはやジャズですらない、という前衛ジャズの先っぽ、とは全く違う音楽。だけど、近藤のオト、ヒステリックで、自らを哄笑するようなシニカルな音世界はそのまま。そのまま激しいビートにのった快感。すっかり参ってしまった。闇を切り裂く刃物のような電気トランペットが哄笑する...

その「近藤等則IMA」の最初のアルバムが「Metal position」。LPジャケットの帯の惹句が中沢新一、チベットのモーツァルトがヒットしたばかり、なのだから何とはまあの、時代の潤色。音のキレがとてもよくて、格好がよい。何回も何回もターンテーブルを回した一枚。いまでも聴いている。この後、近藤がTV番組やコマーシャル(資生堂など)でメジャーな露出が増えるまでアッという間であった。それにしても、たまたまTVをつけたら、田原俊彦のバックで吹いていて驚いた。それがyoutubeにアップされているのを見つけて、またまた驚いたけど。

Metal Position (MEG-CD)

Metal Position (MEG-CD)