K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

近藤等則: Tokyo meeting 1984 I.M.A. Festival (1984) 1980年代前半のIMAへの流れ、みたいなものを思い出す

近藤等則: Tokyo meeting 1984 I.M.A. Festival (1984, TK recording)
1. Set K 6:14 近藤等則(tp), Henry Kaiser(g), Bill Laswell(b), 仙波清彦(per)
2. Set I 4:42 Peter Brotzmann(sax), Bill Laswell(b)
3. Set B 6:21 近藤等則(tp), Peter Brotzmann(sax), Henry Kaiser(g), 高橋悠治(p), 仙波清彦(per)
4. Set L 5:48 渡辺香津美(g), 高橋悠治(p), 仙波清彦(per)
5. Set G 7:08 Peter Brotzmann(sax), Henry Kaiser(g), 渡辺香津美(g), Rodney Drummer(b), Cecil Monroe(ds), 仙波清彦(per)
6. Set H 7:59 近藤等則(tp), 高橋悠治(p)
7. Set E 5:36 Peter Brotzmann(sax), Henry Kaiser(g), Bill Laswell(b), 仙波清彦(per)
8. Set F(China Boogie) 10:14 近藤等則(tp), Peter Brotzmann(sax), Henry Kaiser(g), 渡辺香津美(g), 高橋悠治(p), 坂本龍一(syn), Bill Laswell(b), Rodney Drummer(b), Cecil Monroe(ds), 仙波清彦(per)
Set C 3:57 Henry Kaiser(g), 坂本龍一(syn), Bill Laswell(b)

1984年3月20日〜21日 The live inn (渋谷)

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先般、入手した近藤等則のボーナスCD。これが凄い(ボク的にはね)。

どうも当時の記憶が混沌としている。時間をかけて当時のことを思い出すと、確かに立川までIMAとサムルノリを聴きに行った記憶が蘇ってきた。それがTokyo meeting 1985。この時期の話は稲岡氏の記事に詳しく、記憶の整理に役立った。

Tokyo meetingのIMAは、セシル・モンローとロドニー・ドラマーの柔らかくも強靱なリズム隊に、ソリッドに刻む酒井泰三、富樫春生。金属音全開でブロウする電気トランペット。この「大変」のメンバーでMetal positionの曲をやっていた、と思う。そこがポイント。とても格好良く、奥行きのある曲が中心で、「大変」のコミカル、ではなかった。だから恐ろしく格好良く、ノリが凄まじかった。

その評判が1984年に横浜界隈で噂になっていたのだ。だから本牧ジャズ祭のIさんと聴きに行った。

初めて聴いた1979年からの時間の流れをメモ:

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1979年10月? 同大学友会館 近藤・ホイジンガーデュオ

1980年2月 京大西部講堂 グローブユニティーオーケストラ

1982年5月 大阪島之内教会? ICPオーケストラ

1983年 DIWから2枚のアルバム発売(インプロ)

    空中浮遊発売(Tibetan Blue Air Liquid Band)

1984年 「大変」発売(近藤IMA)

              3月 Tokyo meeting 1984 (行けていない)

1985年  9月 近藤IMA@Tokyo meeting 1985

   Metal position発売(近藤IMA)

1986年 Konton発売(近藤IMA)

   春頃 近藤IMA@渋谷パルコ

   8月近藤IMA@本牧ジャズ祭招聘

1987年頃 近藤IMA@六本木ピットイン

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35年前の混濁した記憶が少し整理された。1984年の夏から本牧ジャズ祭の手伝いに行って、1985年の春頃に旬のバンドで近藤IMAの名前が出ていたんだ。空中浮遊の「モッサリ感」が気になっていたので、評判に驚いて秋頃に聴きに行ったら凄かった、そんな感じ。そして1986年に本牧ジャズ祭に近藤IMAを招聘した。登戸の近藤宅に電話したなあ。ギャラが結構高額だったので、赤字リスクに対し個人保証を約束したんだ。黒字だったから、良かったけど。楽しかったなあ、20代半ば。

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1983年がインプロから、当時アメリカで盛り上がったオーネット発の「パンクジャズ」、インプロ、フュージョンを掻き混ぜたような音へシフト開始。1985年に近藤IMAの形が定まったという流れ。ボクが聴いたのは、その固まったあたりのIMA@Tokyo meetingで格好良かったな。

だから、このTokyo meeting1984は聴いてみたかった、のだ。それでも1985年頃でも入手は難しかった記憶がある。

今回、TK recordingsから「オマケ」という形で世の中に再び出て、本当に嬉しい。

Creditをみて分かるように、混沌としている。インプロ時代から次に行くべき方向が、様々な形態で試されている。まさに実験で、ビル・ラズウェル、ヘンリー・カイザー、ペーター・ブレッツマンから高橋悠治、坂本龍一まで引っ張り出されている。

で、想像の通り、様々の音が詰まっていて玉手箱状態。そのドキュメンタリー的な録音で、まとまりはないがアヴァン・ミュージックの特異な記録である。そして、マテリアルで知られたラズウェルの多様な交差(本人の音はワンパターンだけど)と同期していることに気がつくのだ。

だから21世紀まで交わりながら続いているラズウェル・近藤の並行的な取り組みの、早い時期の記録、でもある。そしてハンコックのSound-systemとも繋がっていくのだ。この流れ、が結局好きなのだと思っている。