Antonio Carlos Jobim: Wave (1967, A&M)
1. Wave
2. The Red Blouse
3. Look To The Sky
4. Batidinha
5. Triste
6. Mojave
7. Dialogo
8. Lamento
9. Antigua
10. Captain Bacardi
Ron Carter(b), Domum Romao(ds),Jerome Richardson(fl)
Urbie Green, Jimmy Cleveland (tb), Antonio Carlos Jobim(p)
ボクは自分でも困った性分で、独り好きなトコロと人恋しいトコロが半ばしていて、いつもどちらつかずの気分で過ごしている。だから酒を呑めて本当に良かったと思っている。呑んでいるうちに、そんなことはどうでも良くなるからね。
基本的には集団行動が苦手で、群れたくない。スポーツは個人。登山、スキーやランニングは友人が一緒でも、瞬間瞬間は独りの感覚。球技はあかん。だから野球はやらないし、TVでもみないし、球場にも行ったことがない。だから好きな球団を聴かれても、全くの無関心。
だけど例外的に一回だけ野球場に試合を見に行ったことがある。10年くらい前のこと。出張中に同僚とボストン・レッドソックスの本拠地「フェンウェイ・パーク球場」に出かけた。コプレイからブルックラインへ向かう途中。シアトル・マリナーズとの対戦。その頃のレッド・ソックスには野茂がいて、マリナーズは佐々木とイチロー。物見高く出かけた訳だ。でも試合内容は全く覚えていない。関心がないからね。ただ、はじめて”Wave”なるものを見た。ゆっくりと人の波が揺らいでいき、球場を巡っていく。そのときの光景だけ時間がゆっくり動いているような感覚だけが記憶に残っている。なかなか壮観で、人と人の淡い交流みたいな趣で面白かった。
今朝、犀川の畔を走った。何となく気分がすっきりしないので、暫く走り続けることにしたから。今朝の日差し、春の実感なきままに迎えた初夏のような日差しのなか。気がつくと、とても透明度の高い光が降ってきていることに気がついた。河畔の合歓の木の下、草むらがそよいでいる。その揺らぐ草葉の一つ一つが波打っていて、ボクのまわりで大気がゆっくり流れていく様をみることができた。そして波高の頂点で光を強く跳ね返しきらきらしていた。そのときに,ボクはフェンウェイ・パークでみたwaveを思い出した。身の回りのささやかな乱流との淡い交感。
なんだか「風が吹いたら桶屋」になるのだけど、そんなwaveをみているなかで気持ちの中で流れていた音がジョビンのwave。深い考えや思いがある訳じゃなくて、waveって言葉から反射的に浮かんだだけなのだけどね。
このアルバムはLPレコードで持っているのだけど,一番好きなのはアルバム・ジャッケット。どこか浅い夢の中の光景のようなジラフのシルエット。音は当時の編曲、クラウス・オガーマンの匂いが少し古さを感じさせる。
だから亡くなる少し前の日比谷野音のライヴのほうが好きなのだけど。