K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

D'Angelo and the Vanguard: Black Messiah (2014) 黒い音楽、白い音楽

 同じジャズを聴いているといっても、大括りで見ると、頭の中で黒い音楽と白い音楽の2つの分類があって、それぞれ全く違う関心・好奇心で聴いているように思える。黒い音楽、を聴くアタマでは身体的な躍動・肌にまとわりつくような、汗のような感触を愉しむ。白い音楽、を聴くアタマでは感情的な旋回・意識の底に沈むような、加速感が巻き起こす、畏れのような感触を愉しむ。同じジャズと括っても、かなり違う感覚で聴いている。当たり前かもしれないけど。

 だから勿論、昔のブルーノートなんかの奏者のジャズは黒い音楽を聴くアタマで、ソウルなんかと近い感覚で聴いていると思う。逆に、ビル・エヴァンスのような奏者のジャズは白い音楽を聴くアタマで、現代音楽なんかと近い感覚で聴いていると思う。

 マイルスのKind of blueが奇跡的だなあ、と思うのは、水と油のような2つの音楽がキレイに交わった瞬間をサンプリングしたような瞬間、にぞくっとする。実はミナスの音楽の快感も、これに近いような感覚がある。黒でも白でもない、茶色のような。

 ボクは全く詳しくないのだけど、新しい世代のソウルらしい(でいいのかなあ?)このアルバムを聴いていて、全く違和感がない理由を考えていたら、上記のような結論。上質の黒い音楽なんだろうな、って思う。ビートも全くワンパターンでないし、とても楽しめる。1970年代のソウル・R&Bのレコードはそれなりには聴いたのだけど、近年の楽しめるものはよく分からなかったので、丁度よし。プロモーション・ヴィデオが良かったので手にしたFlying Lotusのyou're deadより、楽しめた。

 トラックによっては、マイルスが入っていてもいいな(Doo Wopの延長でアガルタを足し込んだような)って感覚もあるし。ディアンジェロをもうちょっと聴いてみても、いいかなと思った。amazonでCDを見ていたら、何となく引っ張られて買ったのだけど、そんなwebの気紛れなガイディングも悪くないな、ってことがタマにはある。最近は、ほとんどダメなamazonのその手の機能なんだけど。

 

 

 

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D'Angelo and the Vanguard: Black Messiah (2014, RCA)
1. Ain't That Easy
2. 1000 Deaths
3. The Charade
4. Sugah Daddy
5. Really Love
6. Back to the Future (Part I)
7. Till It's Done (Tutu)
8. Prayer
9. Betray My Heart
10. The Door
11. Back to the Future (Part II)
12. Another Life