K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

こんな春の一日があるから:雪の渓谷・花見


 朝4時半に目覚ましが鳴る。薄明のなか支度をし、クルマを走らせる。谷間についたのは明け方。周囲は雪の壁。山の上に細い月が見える。

 川に降り、仕掛けを取り付ける指先が凍える。放射冷却で0℃近くまで下がっているようだ。寒さの中で糸を垂れるがアタリはない。水に浸かると、防水を通して寒さが伝わり、次第に痺れる。

 結局、大きく引いたのは、それから大分経った後。谷間に陽が射し、風が和らぎ、すっかり早春の雰囲気になった頃。夏と同じような急流脇の岩陰から飛び出した。29cmの尺足らず、と22cmのイワナ。やっと釣りをした気になった。

 すっかり沢の中で遊んで、昼過ぎに沢を後にした。

 帰宅し、犀川沿いに。街中は20℃弱まで上昇し、大気が和らいでいる。寒くない花見、がなかなか難しい金沢なのだけど、散り際の見事な花見になった。いつものことながら、桜橋・桜坂あたり、の光景が好きだ。

 そして毎年お世話になっている「いたるの花見」へ。早い時間から出かけると、酔いがまわる。今年はかなり遅めに行ったら、(やはり)ほとんど食べ物がなかった。どっちもどっちなのだけど、深酔いすることなく夕暮れを迎えたのはよかった。

こんな景色が好きで来ている。

 この場所でのんびり時間を過ごしていると、毎年、昔のことを思い出している。1998年の春。もう17年も前。仕事で金沢に来て、桜と白い山々の光景にすっかり魅せられたこと。犀川の河畔。今見ても、そのときと気持ちは変わらない。

 いつか仕事を金沢で、と思ったのがその時。金沢に移り住んでから桜の候は6回目。早いものだ。

杉の井の桜は素晴らしい。いつだったか、あの二階で花見宴会をしたなあ。

夕暮れが迫るとお仕舞い。

雪の渓流から花見へ、こんな春の一日があるから、いろいろなことがある日々を過ごしていられる、ような気がしている。あと何回過ごせるのだろうか、ふっと思った。