K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

ケイ赤城トリオ@金沢・もっきりや(12/23)地方中核都市に住むと云うこと

 素晴らしいライヴを年の瀬に聴いた。

 ケイ赤城トリオ:ケイ 赤城(p) 若井 俊也(b) 本田 珠也(ds)

 特に目新しいことをやっている訳ではない。いわゆる主流派ジャズ(死語だなあ)の延長にある、とても正統的なものである。が、そこには強烈なドライヴへの指向とインタープレイの妙(なんて軽いものじゃなかった)があって、その緊張感が怖ろしいほど高い、そんな演奏。太古の昔のバップの頃からあるような、2小節でのソロの交換で、あんなに緊張感が走るモノだ、とは思わなかった。

 すらっと弾きはじめ、次第に緊張感を高めながら、ピアノという楽器の凶暴性をあれだけ見せつける、それも破壊的なスタイルから与えるのではなく、音の一音一音を立たせながら、その音列が次第に牙をむく、そのような感覚。驚いた。そのような緊張感が与える音の大きさ、は凶暴そのもの。スタイルのスマートさ、との際だった対照に驚き以上、のものがある。音そのものには、ガーランドのようにコロコロしたり、タイナーのように走ったり、ああアメリカのピアニストなんだなあ、と強く感じされる瞬間が多々ありながら、強度そのものに赤城さんのオリジナリティを感じた。

 ドラムの本田さんは、名前こそ知っていたがナマははじめて。この人は風貌もコワモテであるが、ドラムもコワモテ。ここしかないタイミングで強烈に打ち込む。ライヴのあいだ、彼に殴られているような、強烈な体験だった。ベースの若井さんは所謂ヴァーチュオーゾ的なテクニックで強烈な強度の二人の間を埋めていき、存在感を主張する。これも凄いことだと思った。

 聴き終わると、さすがにぐったり。体育会系ジャズという感じ。ジャズはスタイルでなく、強度である、という側面を強く教えられた。

 

(もっきりやのHPから借用)

 今年はメルドー・ジュリアナ以来、東京でのライヴには行けていないのだけど、多くの北欧の奏者(大澤さん、ありがとう)をはじめ、今回のケイ赤城トリオなど、すばらしいライヴをもっきりやで聴くことができた。地方中核都市に住むと云うこと、の良さ、をしみじみと思うのだ。もっきりやの平賀さん、ありがとう。

 ライヴ後はアルバム購入とサイン。

 

  

赤城さんの最新作。今回はここからの曲多し。でもCD(レコードも)に入らない音だったなあ

 

赤城さん、といえば、のアルバムにもサイン

本田さんのアルバム。琴(!)との共演。アヴァンギャルド