K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

オノセイゲン:SEIGEN (1983) 出発の前に聴いていたレコード


  いつだったか、仕事で出かけた遠くの街のレコード屋にあったので、手にした。

 それから随分と長い間、放置していたのだけど、気になってターン・テーブルに置いてみた。ほぼ同世代の音楽。

 当時はやった環境音楽、の類い。ミニマルな音を多用していて、しかし隠しきれない隠し味のような、案外古くなっていない、いい味を出している。

 何よりも、録音技師が作ったレコードだから、音が良い。ECMのような良さ、とは全く違っていて、残響を使いすぎず、自然なのだけど、新緑の緑が無作為であっても輝いているように、音が煌めき輝いている。しかしそれが、そのような音と全く出張していない。

 弦はクラシックでの録音のようなアコウスティックな響きを強調していないが、それが楽曲の雰囲気と見事に調和している。

 1970年代のお仕舞いから10年ほどのアナログ録音は素晴らしい。その時代の環境を、ごく自然に使いこなして、まったく自然ではない作為である楽曲を、そのように聴かせる、しばし聴きいってしまった。古いJBLのスピーカが瑞々しく鳴った、ことが嬉しかった。

 少し長い出張に出る。出発の前に聴いていたレコード。