K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Andrew Hill (1978) 音響空間ということ

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昨日のヘンダーソンが存外に響かなかったので、他のBNアルバムを聴いていくと、アンドリュー・ヒルが入っている作の方が断然いいと思った。何だろう。やはり、モンクと同じような「ある種のピアニズム」を、モンクと異なる形で表出させていることにある、と思った。音の表現を、鍵盤を押すことで行うのでなく、むしろ離した後に行う、ような。ピアノの響きが作る音の深さ、に奇妙な味が籠もる。

このアルバムは1978年にジョン・シュナイダーのArtist House (既にA&M傘下になった後、末期)から出たアルバムで、作者以外のタイトルはない。カルフォリニアでの録音で、ヴァン・ゲルダーがマスタリング。なかなか美しい音。ECMに似合いそうな演奏なのだけど、残響が適量で、ピアノがとても明澄。

技巧を繰り出す出なく、つらつらとLPレコードの片面づつ弾く。それだけ。旋律もあるような、ないような。音響空間ということ、に微かなこだわり、がある。旋律に対する執着よりも、ピアノを響かせるだけで遊んでいるような作品。ヒルそのものを、しっかり味わうアルバム。そして、その味は少しだけ変だ。

追記:買ったレコードはとても変で、ジャケットは米盤、中身は日本盤。音は悪くない。キングレコードの良質なプレス。



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Andrew Hill (1978, Artists House)
A. From California With Love 19:58
B. Reverend DuBop 18:41
Andrew Hill(p)
Creative Director: John Snyder
Mastered by Van Gelder
Producer: Ed Michel
Recorded October 12, 1978 at Berkeley, California.

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