K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

山下洋輔: Dancing 古事記(1969) 先日の早稲田大学でのイベントを観て、再び聴く

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山下洋輔: Dancing 古事記(1969, 麿レコード)
A1. アジテーション 0:50
A2. テーマ 15:42
B1. 木喰 17:07
山下洋輔(p), 中村誠一(ss), 森山威男(ds)
1969年7月 早稲田大学で録音

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先日の早稲田大学でのイベント「村上春樹Presents 山下洋輔トリオ 再乱入ライブ」をオンラインで観て、再びレコード聴いてみる。はじめて聴いたのはCD再発、立松和平絡みの分厚い冊子付き、で、15年ほど前かな。浅川マキの企画モノ同様、過剰な時代のコンテクスト、が気になって仕方がない(駄目な意味で)。そんなものを剥いでしまうと、後年の山下洋輔トリオと変わらぬ姿があり、だから1980年頃に自壊させていくのだろう。そりゃ、演っているほうも飽きるだろう。

今回改めて気がついたのは、未完成の森山威男。あの正確無比なパルス状の打音、ではないのだ。わずか二ヶ月後のコンサートと、そこが大きく違っていて、激しい飛躍の中にあった、という意味で、貴重なドキュメントなのだ。

 

[2017-04-07] そんな時代臭なんかと関係なく

 山下洋輔の初リーダ作で、大駱駝艦の麿赤兒による自主制作。1969年7月、バリケード封鎖された早稲田大学構内での演奏。同日の演奏は、田原総一郎がドキュメンタリーの形で放送している。懐かしいアジ演説も入った、時代の臭い(匂いでなくて)溢れる盤。ボクの母校では、1980年過ぎまで大学封鎖をやったりしていたので、何とも懐かしくも、アホくさいのである。

このアルバムについては1987年頃、麿赤兒がジャズ批評で語っているのを読んで聴きたくなったが、見たこともなかった。だから10年くらい前にCDで再発されたときは飛びついた。これは音楽の記録というより、時代の記録という側面があって、CDよりも分厚い冊子が面白かった。浅川マキ本とか、阿部薫本と同じような時代臭がアレなんだが。

そんな時代臭なんかと関係なく、演奏は見事なほどに、後年と全く変わらない山下洋輔トリオそのもの。1969年時点で不動のスタイル。森山威男の鋭いパルスの上でピアノが高速でドライヴし、サックスが吠える。意外と(失礼)良かったのは中村誠一のサックスで、鳴りが美しい。破壊的な音を出している訳ではなく、実に綺麗に鳴らしている。つい何回も聴き入ってしまった。

また麿赤兒によるレコードの造りも凝ったもの。ライナーノートは立松和平の小説「今も時だ」の引用。文章は読んで恥ずかしい感じではあるが。レーベルも丁寧な仕事。

追記:

実はこのレコードはオークションで高頻度で出品されていて、珍しいものではない。1000枚くらいのプレスかなあ。しかし価格的には手を出し辛いゾーンで見送ってきた。今回はそれに比べると1/3くらいの価格で、納得のいくものであった。

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