K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

John McLaughlin: Where Fortune Smiles (1969) 音の熱さが奏者間の摩擦のように感じられ

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この頃の英国のジャズは面白い。ジョン・サーマンやimprovised musicへ出発するディレク・ベイリー、デイヴ・ホランド、ケニー・ホイラー、ジョン・テイラーなどなど。

このアルバムはドイツのベルガー以外は、UKオールスターズのアルバム。20年くらい前にCDで入手したのだけど、最近、1970年代中盤のDAWN再発盤を安価に入手したので、再び聴いている。

このアルバムではサーマンは少し引っ込んでいて、カール・ベルガーとマクラフリンの金属音が全面に出ている。冷たい無機的な音空間を造っている。そこに土台のようなサーマンのバリトンが浅く流れていく。

英国のアルバムなのに音が熱いのは、ニューヨークの録音だから、なのだろうか。その熱さが奏者間の摩擦のように感じられ、ジャズ的な魅力のようにも、音空間が縮退するような残念感も喚起してる。ECM的な処理(リピダルのような)がされると、もっと輝いたのだろうな、という気がする。そのあたりの感じがベイリーらのKaryobinとの差かな。

それにしても日本や欧州のようなジャズ辺境が強いアイデンティティを主張しはじめる1969年、何が起こっているのだろうか。

WHERE FORTUNE SMILES (RE-MASTERED EDITION)

WHERE FORTUNE SMILES (RE-MASTERED EDITION)

 

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John McLaughlin: Where Fortune Smiles (Dawn, 1969)
A1. Glancing Backwards (John Surman) 8:54
A2. Earth Bound Hearts (John McLaughlin) 4:15
A3. Where Fortune Smiles (John Surman) 4:01
B1. New Place, Old Place (John McLaughlin) 10:24
B2. Hope (John McLaughlin) 7:19
John McLaughlin(g), John Surman(bs), Karl Berger(vib), Dave Holland(b), Stu Martin(ds)
Engineer: Dave Baker
Recorded in New York City, 1969

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