K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Schlippenbach Trio+高瀬アキ「冬の旅:日本編」 コンサートには終わりがある、そこが

f:id:kanazawajazzdays:20181124195700j:plain

うまくシュリッペンバッハ・トリオ(エヴァン・パーカー、ポール・リットン)+高瀬アキの公演@高円寺を聴くことができた。今年は下半期に入って、ライヴを聴く機会をしっかり確保できている。

シュリッペンバッハは40年近く前に、グローブユニティ・オーケストラ@京大西部講堂で聴いている筈なんだけど、記憶も朧気。同時期のICPはレコードで出たこともあって記憶に定着しているのだけど。エヴァン・パーカーは金沢・21世紀美術館での公演を聴いて、ボクのなかに眠っていたこの分野への関心を呼び覚ます契機となった。

そんな訳で万障繰り合わせる元気を出して、高円寺へ。

コンサートは座席200名程度の中規模のホール。そこが8〜9割方埋まっていた。大したものだ。音響はdeadな印象であったが、PAを使わなかったこともあり、deadでかえって良かったように思う。

第一部はアレクサンダー・シュリッペンバッハと高瀬アキのデュオ(四手)と各々のソロ。高瀬アキは2年くらい前のライヴと変わらず元気(ますます元気)。跳ね上がるような煌めく音も相変わらず。同じピアノであっても、シュリッペンバッハのタッチは柔らかく、落ち着いたトーン。最初、音がくぐもっているように感じたが、次第にホール全体に広がっていく感じで、とても気持ち良かった。そしいてよく作られた曲を聴くことができた、ような印象が残った。

第二部はアレクサンダー・シュリッペンバッハ・トリオ。何よりも印象が強かったのはエヴァン・パーカーのテナーサックス。ポール・リットンのジャズ的な細動に煽られながらジャズ的な味を出しながら吹いていたが、途中、すっと天上の音を聴かせるような美音(クラシックのピアノではあるが)に。その瞬間、何か次元が異なる音を聴くような不思議な感覚に。いつまでも続いて欲しかった。

リットンは時折熱くなりながら、ジャズ的な昂奮を与え続け、実に良かった。シュリッペンバッハのタッチは強くなく、反射板の方向もあったのだろうが、音のバランスが悪く、聴き取りにくかった。そこが残念。それでも、すっと音が空いた瞬間にピアノを打ち込み、場を旋回させたのは見事だった。

本当はもっともっと、いつまでも聴いていたかった。そんな音の連鎖。コンサートには終わりがある、そこが最大の不満であった。

招聘に尽力された方々に深謝申し上げます。