K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Hank Jones: Hanky Panky (1975) GJTよりも地味で滋味溢れるピアノ

Primary

Hank Jones: Hanky Panky (1975, East Wind )
A1. Nothin' Beats An Evil Woman. (Ray Rivera) 3:45
A2. Warm Blue Steam. (Sara Cassey) 4:36
A3. Confidence. (Pete Vuolo) 3:37
A4. Wind Flower. (Sara Cassey) 5:28
A5. Minor Contention. (Hank Jones) 3:51
B1. Favors. (Claus Ogerman) 6:32
B2. As Long As I Live. (Harold Arlen, Ted Koehler) 5:44
B3. Oh, What A Beautiful Morning. (Oscar Hammerstein II, Richard Rodgers) 5:43
B4. Hanky Panky. (Gary McFarland) 4:37
Hank Jones(p), Ron Carter(b), Grady Tate(ds)
Engineer: Dave Baker
Mastering: Darrell Johnson
Producer: Kiyoshi Itoh, Yasohachi Itoh
Recorded July 14th & 15th 1975 at Vanguard Sudio, N.Y.C.
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ハンク・ジョーンズは1950年代こそサヴォイからリーダ作を出しているが、その後はあまり機会に恵まれなかった、らしい。

ボクがジャズを聴きはじめた1979年頃は、日本企画のGreat Jazz Trioで人気を博していて、日本が再発見した名奏者、って感じの扱いだったように記憶している。確かに、意表を突くトニー・ウィリアムスとの組み合わせ、その頃、ハンコックのVSOPで再注目されていた時期だった。凄くミスマッチがある組み合わせなのだけど、聴くと案外そうでもなくて、随分聴いたような気がする。

そんなハンク・ジョーンズの「再発見」(何か失礼なように思えるが)が、この盤だったらしい。

ドラムがウィリアムスからグラディ・ティトに変わっただけだが、アルバムの印象が180度異なる。ジョーンズがゆったりと前に出て、切れまくるようなエッジ感が全くなくなり、地味な味わい。いや地味ということではなくて、実は滋味が溢れ出ていて、聴き手をゆったりと包み込む。こっちのアルバムのほうが好みかな。同時期のMuse盤Bop Reduxとともに、いやBop Redux以上にハンク・ジョーンズの柔らかなピアノを味わう盤じゃないかな。

1975年の録音。マイルスがアガルタで極北まで行ってしまった頃。だからこそ、この地味、いや滋味溢れる盤が広く受け入れられた、のではないか、と思う。白眉はB1。クラウス・オガーマンのFavors。ヴィレッジ・ヴァンガードと比べると、曲の美しさが溶け込んだようなジョーンズのピアノに魅了された。これも大好きな1970年代のジャズを形作る音源の一角だし、それを日本制作盤で実現していることが素晴らしい。ヴィー**盤の見識を感じさせない企画モノとは次元が違う。 

録音はやはりDavid Baker。IAI、ECM、EWの彼の録音は好きだ。RVGの録音が持つ膜のようなものが取り払われた、そんな抜けた音が好み。

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ハンキー・パンキー

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