K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

佐藤允彦: Palladium Explosive (2023) 書き物のときのBGM

佐藤允彦: Palladium Explosive (2023, LEZARD by F.S.L.)
1. Palladium-Explosive (佐藤允彦)
2. Salamander (佐藤允彦)
3. Distant Shimmer (佐藤允彦)
4. Epistrophy (Thelonious Monk)
5. Lazy Spring (佐藤允彦)
6. Moth Ball (佐藤允彦)
7. Inspired by Habanera (Joseph Maurice Ravel)
8. Inspired by Pavane (Joseph Maurice Ravel)
9. Bamboo Shoots (佐藤允彦)
10. 風紋 - Fuumon - (佐藤允彦)
佐藤 允彦(piano)
Sound produced by 佐藤 允彦
All tunes arranged by 佐藤 允彦
Recorded, mixed & mastered by 樽岡 大志(株式会社 現音舎)
Recorded on January 9, 10 & April 3, 2023 at LEZARD
Mixed at Studio 246
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昨年の正月、大友良英のラジオ番組に出演した佐藤允彦の声や演奏を聴いて、その相変わらずの様子に驚いた。鈴木勲もそうだったし、渡辺貞夫も、彼らの前では時間の概念が消えてしまう。ジャズを聴き出した頃からの変わらぬ存在。佐藤允彦は最近になっても欧州での演奏を出したり、何ともまあ、なのだ。

これは最近のソロ演奏でのライヴを収めたアルバム。

まずCDの惹句から:

名曲〈パラジウム〉の現在形も含めて、佐藤允彦が過去と現在を繋ぎ、未来まで俯瞰する。キャリアを代表するソロ・ピアノ集がここに完成した。佐藤は、これで過去と決別できるのか? (小川隆夫)


代官山の喧騒を離れた猿楽橋の袂にある小さなジャズ・バー、LEZARD(レザール)。その30周年を機にピアノが入れ替わった。低音が伸び、高音が輝き、大きくパワーアップ。ピアノの選定にも関わった佐藤允彦が奏でたのは、自作曲の数々とMaurice Ravel, Thelonious Monkのカバー曲。
佐藤自身が「ごく初期の作として好評を得た Palladium が私の代表作として語られ続けることを断ち切るために爆薬を仕込んだ」と言う「Palladium Explosive」、Harvey Masonとの想い出の「Salamander」、Dave Liebmanとの「Moth Ball」、Eddie Gomezとの「風紋」、横浜Jazz isでの「Epistrophy」など長いキャリアから紡がれる名曲たち。

このCDでは、彼のピアノ演奏が纏っている鋭角の音のようなものが少し軟化していて、親しみやすい雰囲気を醸している。語りかけるような、演奏であることが面白い。またモンクやラヴェルが佐藤允彦的な音で聴こえるのも楽しい。

ソロというと観自在を思い出したり、デュオだと双晶を思い出したり、そんな聴き手からすると、なんだけど。音の美しさは相変わらず。だから、良い意味で「聴き流してもいいかな」と思わせるアルバムで、書き物のときのBGMとして重宝している。

最近も幾つか彼の音源を購入しているが(森山威男、大友良英、なんと中山千夏との共演盤とか)、なかなか聴けていない。

Palladium Explosive

Palladium Explosive

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