K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

富山・大日岳(2501m)残雪の後ろ姿を追いかけて


 沢の上部にはそれなりの残雪は残っていて、アイゼンを装着して、シルエットになった先行者を追いかける。目の前に稜線があるように見えるのだけど、上がっても上がっても近づかないように感じるのは不思議なことだった。

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 4月の真中くらいだったか、そんなに高くない峰の上に登った。標高1000mを越えると残雪が鈍く光っていた。自重で圧雪されたざらめ状の雪を踏みしめて進む足取りは心地よく、首筋には汗が浮かぶ。高嶺を遮る前山を見下ろす高度まで上がれば、白く輝く山嶺が続く。そんな光景のなかで残雪輝く峰に強く惹かれてしまった。

 それから、残雪の後ろ姿を追いかけていくような山行を続けたくなってしまった。そして、山に登り続けている。

 そんな残雪の山に触れさせてもらった最後は6月下旬の大日岳。お願いして同行させてもらった方々の足取りも気持ち良く、なんとも楽しい山になった。

称名の滝の横から暫く登ると、池塘が現れ、果てしなく続く木道の向こうに大日岳がみえた。高層雲の文様に心惹かれていた。

沸く雲のもとを歩いていた。気がつくと、雪がにじり寄るように目の前に現れた。

大日岳に向けて沢沿いに詰めていく。次第に斜度を上げる。キックステップでも上がれるのだけど、次第に疲れてきたのでアイゼンを装着する。

振り返ると、初夏と初春が入り乱れたような光景。残雪が切れる辺りの彩り。

 一月近く経って、淡い記憶のなかで遊びような感じで写真を眺めていると、ボクのなかで残雪期はこの日が最後となったことを何回も何回も反芻しているような気持ちになった、