ここ数日、このアルバムを無限円環のように仕事場で流している。ごく低い音量で聴くセロニアス・モンク集。スネアをブラッシで叩き続けるベニンクの変態的なリズムが可笑しな快感を誘う。時間感覚の横滑り、のような不思議な逸脱感。
最近、気がついたのだけど、大好きなアルバム(一番好きかもしれない)であるEric DolphtのLast Dateって、実はこのベニンクとメンゲルベルクの「ゆらぎ」が大切な香辛料かもしれない。気持ちのなかの「刻み」に対して、前でも後ろでもなく「ゆらぐ」。そんな違和感が気色良い。だから、そんな「ゆらぎ」が前提のモンクの曲はとりわけ相性が良い。Last Dateにも、このアルバムにも収録されているEpistrophy を聴いて、いつもそう思う。
ベニンクって、所謂improvised musicでの焼け野原的解体の闘士のイメエジが強いのだけど、案外このような主流派のジャズをさらっと変態的リズムに叩き込むときの気持ち良さ、がいいと思うのだ。そして改めて、数少ないDolphyとの共演者の生き残りだよね、ってことも。
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Han Bennink: Monk Volume One (2008, Gramercy Park Music)
1. Four In One
2. Think Of One
3. Mysterioso
4. Skippy
5. Pannonica
6. Epistrophy
7. Nutty (Alt. Take)
8. Bye-Ya
9. Crepuscule With Nellie
10. Evidence
11. Let's Cool One
12. Ask Me Now
Han Bennink(ds), Ernst Glerum(b), Michiel Borstlap(p)