(前の記事の続き)
プリ・アンプが気になったのは、名古屋栄のハイファイ堂で、このアルバム(日本盤)を聴いた時。レコード販売コーナーの一角にあった大きな音響装置からの音は、ヴァイオリンの周辺の音場までも再現していて、空気がピリピリしていた。ある意味、しっかりと味付けがされたジャズの録音とは異なる「リアリティ」に触れてしまった。それは9月頃の話。
結局、しばらくしてフィリップスの原盤でこのアルバムを入手したのだけど、やはり手元の音響装置では今ひとつピンとこない。結果として、今の装置の入手に至った訳だ。
クレメールにバッハ・無伴奏ヴァイオリンソナタはECMからのアルバムを持っていたのだけど、これはその前の録音。ボクには演奏の善し悪しを云々できないが、強い緊張を与える厳しい演奏。時折、気持ちの基底まで刺すような音が放たれる。レコードの片面があっという間。演奏が途切れた時、精神が弛緩することがハッキリとわかる。凄い、と思う。
さて、原点に立ち返って、新しいアンプでどうだったか、というと、「とりあえずの満足」。まだ届いていない空気感があるのだけど、それは部屋の音響特性など様々な要因があると思う。あの音とは違うのだけど、気持ちのうえでは満足した。それが大切じゃないかな、と思う。