今年もやってきた。天蓋は水を湛え、今にも溢れ出しそうな危うさのような、湿気が漂っていた。
この時期のバンコクは30℃から32℃程度、案外、心地よい。
強い日射しが浮かぶ雲のコントラストを強め、だから背後の空が黒く見えるほど、モノトーンの光景が広がっていた。
強い日射しなのだけど昼はどこかに暗さを感じさせ、日没後の空が淡い明るさを放つような、不思議な光景。
日本よりも穏やかな大気、ゆっくりと進む長い時間のなかへ、ゆっくりと溶け込む。そんな甘い感覚に暫し浸るために、この地に来たのだと、味わうように過ごしている。