K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

飯島晃: コンボ・ラキアスの音楽帖(1990) 素晴らしくも秘めやかな音世界

 最近は結構apple musicで新譜を聴いて満足。音欲と物欲の華麗な分離、に嬉しくなっていた。CDの収納スペースにも限りはあるし。

それでも、ブログなどでふっと見かけると、即決で入手することもある。このアルバムがそう。

さるブログ(Free系の音源の参考にしている)に記載された記事、が、その音の在り様を「猫町」に例えたあたりで、ノックアウト。

確かにそんな音源で、昨夜に届いてから鳴らし続けている。高柳昌行さんのお弟子さんだそうだけど、ノイズ・ミュージック(苦手)のようなものでなく、調性と無調性の際どい合間のような場所へ美しい音を探し求め、少ない音で大きな空間を埋め尽くすような、驚くようなギター。聴いていると、ギターを聴いている感覚、すら記憶の底に投げ捨てていることに、時折、ハッとする。

共演者は、そんな彼の音空間のなかに、一輪挿しのように音を添える。古い日本家屋の薄暗い部屋に、小さな電球が灯っている。その淡い光が照らす小さな花のような共演者の音。美しい。ソロ、デュオ、トリオの小編成での音。

ボクが現代音楽やジャズを聴くのは、美しい音への限りない追求、に惹かれるからだ。そのために外された様々な過去からの規範、は勿論あってもいい。外すことが目的ではないにだ。外すことによって、ヒトの感情にもたらされる新たな効果、のようなものが美や快楽を主張すればよい。即興なんかもそうだ。即興が目的ではない。

この音楽がジャズなのか現代音楽なのか、ボクには分からない。ある種の作曲行為(即興も含め)により、素晴らしくも秘めやかな音世界が作られた、25年前に、というドキュメントが眼前にあるだけだ。そして、奏者はこの世にいない。

amazonで容易に入手できたし、近々、ディスクユニオンで再発される、らしい)

 

萩原朔太郎:猫町(1935) 気がつくと傍にあるような散文詩

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飯島晃: コンボ・ラキアスの音楽帖(1990)
1. いばらのサギ師
2. 月の谷のピレア
3. 背広の男と象の庭
4. ロビン
5. 待つための根拠
6. セラフィタの季節
飯島晃 (g), 近藤達郎 (accordion, harmonica), 篠田昌已 (ss), 向島ゆり子 (vln), 清水一登 (vib), れいち (perc)