K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

富樫雅彦, 鈴木勲: 陽光 - A Day Of The Sun(1979) 奔放な鼓動と旋律

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 奔放な鼓動と旋律、が盤に封じられている。レコード針が盤面をなぞりはじめてから、針があがるまで、封じられた鼓動と旋律が溢れ出る。

 富樫雅彦は、肢体が自由であったとき、そのスピード感溢れるドラミングは凄まじいものであった。下肢が不自由となり、両手だけでの打楽器奏者として再起した後は、個々の打音の正確さ、スピード感は相変わらずなのだけど、音の数を減らし音の空間を精緻に広げていくような演奏を行っていた、と思う。

 その富樫雅彦が、豪放な鈴木勲と一緒に造る音は、富樫の音空間に芯を与えるもので、それがグルーヴ感を生んでいる。空間のなかに様々な鼓動や旋律が沸いてくる。多重録音を行っているが、全く過剰ではなく、二人で造る空間を程よく彩っている。

 フリージャズでない、ジャズですらないかもしれない。そこのは躍動する音があるだけなのだ。異質のように思える二人の相性の良さ、に驚く。

 当時のキングレコードでの録音は素晴らしく、見事に二人の造った音空間を鮮やかに記録している。

 

 

参考記事:

kanazawajazzdays.hatenablog.com

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富樫雅彦, 鈴木勲: 陽光 - A Day Of The Sun(1979, Paddle Wheel)
A1. A Day Of The Sun 7:59
A2. Birth Of Yellow Eggs 4:26
A3. Lonely Blue 7:08
B1. Creatures In The Deep Blue Sea 7:51
B2. Silvery Flash 4:27
B3. Awakening Of The Fresh Green 5:27
富樫雅彦(ds, perc, synth, solina), 鈴木勲(b, piccolo-b, cello, p, solina),
Recorded : February 1-3,1979 at King Records Studio #2, Tokyo.