2000年頃だったか、ある時期、面白いジャズはないかと少しだけ熱心に猟盤した時期がある。幾つかのガイドブックをみたのだけど、吉祥寺のジャズ喫茶のオヤジ本によれば、ヴィーナスがお勧めらしい。ということで何枚か購入したが、良かったのはザイトリンくらいかなあ。ライオン・プロデュース/RVG録音の現代版を狙ったのだろうが、味付けが濃い居酒屋のつまみ、みたいで飽きた。(結局、村井本が良かったかな、当時。フリーゼルとかリピダルに誘導された)
その頭があって、ヴィーナスにはそれから手を出していない(いや、ハーシュ一枚かな)。だからブレイも富樫も、ヴィーナスのアルバムには手を出していなかった。先日、中古レコードが出ているのを見かけ、つい手を出したのが本盤。
今朝、聴いてみると、やはりヴィーナスらしい企画モノではあるのだけど、やはり市川秀男のピアノがしっとりとなかなか聴かせる盤なのだ。市川アルバムとして聴けば、ストレスはない。やや音の味付けが強いなあ、とは思うが、良い音のアルバム。
しかし残念なのは、期待した富樫のドラムの音圧がとても低い。つまり正統的なピアノ・トリオの録音バランスであり、富樫雅彦の打音の余韻や奥行きを全く感じない、パサパサした音。
1990年代の他の製作会社からの「ビ・バップもの」をCDで聴き直しているが、何れも富樫の打音が音圧高めで収録。音圧は高いが、その美音のドライヴ感、意外なアクセントに昂奮を呼ぶ。そこが全く足りないので、残念であった。
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富樫雅彦/Spirits Trio: Jazz (1994, Venus records)
A1. Where Are You
A2. Desert Wind
A3. A lovely Way To Spend On Evening
B1. Blame It On My Youth
B2. Waltz Step
B3. Can't Help Lovin Dat Man
富樫雅彦 (ds), 市川秀男 (p), 桜井郁雄 (b)
Engineer, Mixed By : Hiroshi Sato
Engineer [Assistant] : Makoto Togashi
Lacquer Cut By [Cutting Engineer] : Kazumi Tezuka
Producer : Tetsuo Hara
Recorded at Music Inn in Tokyo on July 8th, 1994.