K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

佐藤允彦:Palladium

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(表ジャケット)

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(裏ジャケット)

佐藤允彦:Palladium(1969, 東芝)
A1. Opening
A2. Michelle
A3. Der Zweig Von Salzburg
B1. Palladium
B2. Scrollin'
B3. Closing
佐藤允彦(p), 荒川康男(b), 富樫雅彦(ds, ring)

Cover art: Michihiro Kimura
Art director: Susumu Tada

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ボクは日本のジャズについては、オリジナルがレコードであればレコードで欲しい、と思っている。あとは再発でも、ジャケット違い(あるいはなし)でも何でも気にならない。

そうではあるのだけど、佐藤允彦のPalladiumは気になっていた。数年前の再発レコードのジャケットを見て、保有盤とオリジナル盤で違うことに気がついた。それから少し気になってた。オリジナルジャケットの質感、音の違い。

このPalladiumが出た1969年が日本のジャズの変曲点で、これ以降、確かに日本のジャズがIdentifyされているように思えるのだ。欧州でのECMの登場時期と同期していることも面白い。それから半世紀。もう彼方の昔なのだ。
そんな興味があるのだけど、概して高価なPalladiumのオリジナル盤は入手できなかった。最近、安価なものが入手できたので小躍り。ジャケットの質感がとても良い。音への期待が膨らむ。早速、聴いてみる。
 長期間聴かれていなかったのに違いなくて、チリによる雑音も酷く、音圧も低め。やれやれ、と思ったが、古レコードでよくある話。我慢して何回か回す。すると、雑音も消え、音圧も上がりはじめる。音の鮮度も不思議なくらい復活。

 1970年代末の再発盤と大差ないが、レコード盤の材質の違いに寄るものか、音のキレはオリジナルのほうが良い。再発盤は典型的な日本盤の音、柔らかく優しいがエッジが効いていない、そんな感じ。決して悪い音ではないが。

 オリジナルのほうが、特にドラムの音が美しく激しい。聴いてみるものだ。3者の交感、美しい佐藤の曲造りの上での、が鮮明だ。なんだか初期ECMを聴いているみたいだぞ。

 

 [2013-05-24]

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随分長い間聴いていなかったこのレコードを久々に聴いてみた。

 最近は「モダンジャズの名盤」を聴く日々で、ジャズが最も輝いていた時代(と云って差し支えないと思う)の音の勢いが凄い。さらに当時のプレスで聴くと距離感が縮まる感じがあって、脳天の先まで音が染み渡る。このままだと精神的にイケナイね、って日々。

 だから気分転換の積もり。手に入れたのは大学生の頃。日本のジャズの名盤と云われていたしね。でも印象はあまり残っていない。淡い感じ。

 改めて、それから30年後に聴くと、清澄な音が時として強いビートに乗ってが流れていく様に驚いた。表裏3回も聴いた。佐藤のピアノの冷たい音色の気持ちよさ、事故前の富樫のドラムの鋭さ、やや寡黙なのだけど的を得た荒川のベース、それぞれのバランスがとてもいい。当時の最先端の音じゃなかろうか。ミッシェルでのfree formでやや暴れるが、観念に過ぎず、音の美しさに志向する感じが好ましい。また時折吹き出す強いドライヴ。富樫のドラムは素晴らしい。1970年前後から、このような先鋭的であり、かつオリジナリティのあるジャズが次々出てきたのは何故だろう、といつも思う。

 30年振りに聴いて、こんなに印象が強まるとは思わなかった。盤をつぎつぎ買うだけじゃなくて、もっと聴かなきゃね。

パラジウム

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  • アーティスト: 佐藤允彦,荒川康男,富樫雅彦
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2000/06/07
  • メディア: CD
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