誤解を招くかも知れない、のだけど、演奏そのものの面白さ、よりも演奏で指向していることの面白さ、を強く感じた夜だった。
最近、強く感じ、そして面白がって聴いているのは、新しい世代の奏者達が作る音空間。明らかに、単なるグルーヴや、単なる即興や、単なる作曲を集めているのではなく、それらの音空間へのはめ込み、のようなものを挑戦し続けているような、そして、数少ない音のひとつひとつに意味を与えていくような作業、に強い興味を感じる。完成形として、ではない、指向・あるいは思考、試行と云っても良い、そのような彼らの新しい音空間への希求、のようなものが面白いのだ。
最近聴いて面白かったTyshawn Sorey, Kris Davis, Thomas Morgan, Rema Hasumiなど皆、そのように思える。そして、そのようなニューヨークの奏者達と、あたかも共鳴しているようなノルウェイの奏者達のグループNakamaを今夜、もっきりやで聴いた。
ライヴでは、いつも思うのだけど、一曲目は楽器の鳴り、が悪い。どこか、ノリ切れないような、音が鳴り切らないように思えることが多い。今日も。しかし、後半に至って、個々の楽器の音が鳴りはじめ、彼らの音の在り方が、作曲と即興の間で揺れる様が面白く感じた。improvised musicなんか特にそうだけど、楽器の音そのものに気持ちがイクので、鳴らなきゃいけないのだ。だから、そんなアコウスティックな音を存分に楽しむことができた。決して完成形ではない、むしろ完成途上の音だからこそ、その音が指向する先、のようなものに強い関心が生じた。
帰宅してレコードを聴くと、その美味しいところを集めたようなアルバムで、とても聴いていて気持ちが良い。Tyshawn SoreyのKoanとあわせて、cowryのアコウスティックな空間で聴きたいなあ、と思った。
ツアーを企画された大沢さん、もっきりやの平賀さん、ありがとうございました。
Nakama:
Adrian Loeseth Waade - violin
Ayumi Tanaka(田中鮎美) - piano
Andreas Wildhagen - drums
Christian Meaas Svendsen - bass, compositions
参考記事: