K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Raphael Malfliet : Noumenon (2015) ジャンルが定義不能な不思議な、そして幻想的な空間

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 先日のNakamaを聴いて、作曲と即興の間を揺れながら、一音一音の意味づけに渾身の力を込めて弾く奏者達、の音に昂奮した。そして、そのような奏者達の背景がfree jazzだったりimprovised musicだったりするのだけど、抑制した音数で空間を組み立てよう、とする共通性を強く感じた。欧州はよりimprovised music的な楽器の音響に着目しているように思えるのだけど。

 つい最近、米Ruwehからリリースされたラファエル・マルフリートのアルバムでは、タイショーン・ソーリーのKoanの世界(柔らかな音響空間)から、さらに欧州での音響的な試み、を強く加味したような不思議な空間が造られている。味わいは、improvised musicに近いものであるが、大きな意味での作曲行為が強く加えられていて、ジャンルが定義不能な不思議な、そして幻想的な空間を創出している。今まで聴いた一連のアルバムから少し高みに抜けたような感覚がある。

 欧州のimprovaide musicが作った音の廃墟のような世界、楽器の音響だけが残った、から、さらに、散らばった音を再構築し(作曲的なものだろう)、そこに強い世界観を与えている。混沌とする21世紀を可視化したような怖さ、も感じた。Ruwehのサイトによるとラファエル・マルフリートはベルギー人。先般聴いたTaxiwarsと同じ。さもありなん、と思った。

 ギターはKoanと同じTodd Neufeld、菊地雅章とも共演していた奏者。菊地とも共通する、音へのストイックさが魅力だと思う。

 

Ruweh recordsのサイト:

Raphael Malfliet - Noumenon

これは、これから読まなきゃ:

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Raphael Malfliet - Noumenon (2015, Ruweh)
1. Kandy
2. My Name
3. Kort
4. Arcana
5. Samen
6. Rotation
Raphael Malfliet (b), Todd Neufeld (g), Carlo Costa (ds, perc)
Produced by Raphael Malfliet and Todd Neufeld
Recorded November 2015 at Oktaven Audio
Engineered and Mixed by Ryan Streber at Oktaven Audio
Mastered by Luis Bacque