K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Fred Hersch: Sunday Night At The Vanguard (2016) むしろ力強さ、を感じさせる

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  発売直後に入手。それから、かなり聴いている。何がいいのか、というと、録音がよい。ハーシュのピアノの美音を、上手く納めている、と思う。特に冒頭、弾けるようなピアノの弱音に惚れ惚れする。それだけで十分、だと思う。録音はECMの米国録音を担当している James Farber。アイヒャーの「味付け」がはいらないと、こえだけ明澄な音になるのか、と驚く。ジャズとしてのコシ、のようなモノを失わない程度に美しく響かせている。さすが。ヴィレッジ・ヴァンガードで、こんなに綺麗に響くのだろうか。実は録音芸術じゃなかろうか、とも思っている。

 演奏なのだけど、何かが今までのハーシュと違う、とも感じる。時折、曲のなかで見せる暗い深淵のようなもの、が消えているように思う。むしろ力強さ、を感じさせる瞬間が増えているようにも感じる。確かに、元気で、健康を取り戻しつつあるのではないか、体だけでなく精神も、と思える。

 かつて屈折した暗さ、のようなものを悪魔的美音で放っていたことが嘘のように思えるのだけど、どうだろうか。その意味では、今後、どのように変わっていくのか、それが楽しみ、と思っている。

 

Sunday Night at the Vanguard

Sunday Night at the Vanguard

 

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Fred Hersch: Sunday Night At The Vanguard (2016, Palmetto Records)
1. A Cockeyed Optimist 7:29
2. Serpentine 8:38
3. The Optimum Thing 5:14
4. Calligram 5:12
5. Blackwing Palomino 6:13
6. For No One 7:06
7. Everybody's Song But My Own 7:20
8. The Peacocks 10:15
9. We See 7:07
10. Solo Encore: Valentine 3:26
Fred Hersch(p), John Hébert(b), Eric McPherson(ds)
Executive-Producer: Missi Callazzo, Robert John
Producer: Fred Hersch
Recorded and mixed by James Farber
Recorded byy [Assistant] : Geoffrey Countryman
Mastered by Mark Wilder
Recorded Live at the Village Vanguard, NYC on March 27th, 2016