K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

宮沢昭: Bull trout/いわな (1969) レコード盤を入手

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CDが届いた後、出物があって「いわな」のレコード盤を入手。ディスクユニオンによる再発シリーズの音にかなり満足したので、迷いはあったが。

1980年の再発レコードのプロモ盤。だからオリジナルではない。まあ、このあたりのレコードは再発であっても、まあ大丈夫と思っている。

聴いた印象としては、僅差でレコードがいいかなあ、という感じ。CDではテナーがばっちり前に出ていたので満足したが、ドラムがやや引っ込んでいる。レコードでそれが少し前に出た、ような気がする。まあ、そんな程度の違いなのでCDで良い、といえば良いのであるが。

 

[2017-07-23記事] 2つの視点

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駄洒落ではないが、渓流から帰ったら「いわな」のCDが届いた。たまたま、ということではなくて、数日前に注文したものだ。ここ1年、レコードで入手しようとしたが、価格的にも合わなくて未入手。apple musicで聴く内容も素晴らしく、良い音で聴きたいと思った訳だ。

最近、気がついたことは、近年のCDの一部、新譜であれ再発であれ、CDで感じるストレスが無くなっていること。楽器と聴き手の間に膜を1枚(あるいは2枚)貼ったような、距離感や鮮度、のこと。だからレコードを入手してきたのだけど。しかし、録音技術、機器の進歩(マスタリング用機器の多ビット化)により、そのような劣化がなくなり、CD本来のディジタル録音の利点がようやく見えてきた感がある。

 改めて、そう思ったのは、ディスクユニオンでのTBMのアルバムのCD再発とレコードを聴き比べたから。CDの方が良い、のではと感じている。

クール・ジョジョ+4  COOL JOJO

クール・ジョジョ+4 COOL JOJO

 

この「いわな」のレコードを聴いていないので、比較はできないが、聴いた瞬間、かなり満足している。とても(今まで感じていた)レコード的な良さ、なのだ。無理して、レコードを入手する必要はないと思った。ディスクユニオン耕記監修って、BN再発シリーズでもそうだけど、音的に安心感があるように思える。(お茶の水のジャズ喫茶で少し話をしたことがあって、音に対する考えに納得させるものがあった。)

BULL TROUT(いわな)

BULL TROUT(いわな)

これが1つめの視点。

2つめの視点は富樫雅彦の演奏。先日入手したFour units以上に、「事故以前の」富樫のドラムを楽しむことができる。

好みは虹ます。沸き上がるようなドライヴ感が凄い。ボクが彼を良く聴いていた1980年頃には、そのようなドライヴ感のある演奏がなかったので、とても驚き。最近になって、晩年のバップ物を入手したので、彼のビートの鋭さを改めて知ったのだけど。

事故により下肢の自由を失った後の演奏においても、その前の演奏と強い連続性、音の密度の近さを感じる。彼が表したかった音の全体像には一貫性があって、それに対し奏法や音の組み立てを合わせているような印象がある。改めて、富樫雅彦の凄みを感じている。

勿論、宮沢昭のテナーも素晴らしい。ロリンズのようであって、コルトレーンのようであって、違う。確かに彼の確かな個性を感じる。かなり好み。

解説で同世代の沼田順が「野百合」ではじめて聴いた、と書いてあるのが面白かった。同世代だったら、「マイ・ピッコロ」じゃないかなあ、と思うのだけど。それが「いわな」の後、越路吹雪の唄伴をやっていた宮沢昭の復帰アルバムなのだ。浅川マキ・プロデュースの「野百合」が出るあたり、マニアックだなあ(悪い意味ではありません、先日の今井和雄との対談も面白かった)。
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宮沢昭: Bull trout/いわな (1969, 日本Victor==>THINK! RECORDS)
1. いわな BULL TROUT
2.河ます BROWN TROUT
3. あゆ AYU
4. 虹ます RAINBOW TROUT
宮沢昭(ts , per) , 佐藤允彦(p , per) , 荒川康男(b , per) , 富樫雅彦(ds , per) ,瀬上養之助(per)
録音年:1969年6月30日,7月14日
CD再発 監修:塙 耕記 , 解説:沼田順