K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Rolf Kühn: Don't Split (1982) ハズレのなかにも、しっかり聴かせる処が

f:id:kanazawajazzdays:20180404083801j:plain

 東京のカフェで立て続きに1960年代中頃のキューン兄弟を聴いて、その素晴らしさに驚愕。ということでレコード、CDを聴いてみたが、いささかがっかり。1960年代の東欧に陰花の如く、ひっそりと存在したジャズ。その張り詰めた音空間に淡いアヴァンギャルドな感覚を感じる、そんな魅力。それが時間とともに雲散霧消する印象なのだ。

 その後のアルバムを聴くと、フリー、フュージョンそして現代ジャズとスタイルが変遷する二人。それは構わない。が、テクニックと作曲能力で器用にこなす、そんな感じに聴こえていて辛い。彼らの音が100%全面に出ないのだ。ボクのなかでは、チック・コリアと同じ脳内ゾーンに入りそう。良い演奏もあるが、よう分からん、というか。

このアルバムは1982年、ウェザーリポートをはじめとするフュージョン全盛の時代と寝たアルバム。その部分の経年劣化はきつい。しかしヨアヒムのピアノが時折放つスピード感が1970年頃の「どジャズ」に響く瞬間が多々あり、その組み合わせの妙が面白い。ハズレのなかにも、しっかり聴かせる処があり、それが存外に良かったりするから面白い。

まあ安価だった理由が分かった。----------------------------------------------------------

Rolf Kühn: Don't Split (1982, L+R Records)
A1. Spring Ball (Joachim Kühn) 7:37
A2. Don't Split (Rolf Kühn) 7:23
A3. Compulsion (Bob Mintzer) 4:19
B1. Horror Dream (Joachim Kühn) 9:25
B2. No Sé (Rolf Kühn) 6:09
Rolf Kühn(cl, synth), Joachim Kühn(p), Bob Mintzer(ts), Peter Weike(g), Detlev Beier(b), Mark Nauseef(ds)
Recorded June 1982, at Tennessee Studios, Hamburg

f:id:kanazawajazzdays:20180404083801j:plain

f:id:kanazawajazzdays:20180404083806j:plain

f:id:kanazawajazzdays:20180404083811j:plain