東京でRolf Kühn, Joachim Kühnのバンドを聴いて、惹き込まれた。しかしその輝きは1960年代の一瞬にあるということも分かってきた。ヨアヒム・キューンは達者なのだけど、その音楽の振幅が大きく、芯のようなものが分からない。その部分に引きずられて、その後、輝きを失っているようにも見える。そう書くと、1960年代後半から1970年代はじめのチック・コリアの輝き、と重なるものがある。
このアルバムはRE:BERLINとか1960年代中期の面白さと、1970年代フリーのつまらなさが交わった、淡水と海水が交叉する汽水域のようなキューン兄弟のアルバム。フリーの気分で新主流派の流れが一番美味しいように思う。カール・ベルガーもそのような音空間の構築に一役。ヴィブラフォンの冷たい響きが、ロルフ・キューンのクラリネットと美味く絡み合う。
バップの重力圏からゆっくりと離脱していくような、そのあたりの音の組み立てがよく考えられている(作曲されている)感覚があって、そのあたりの精緻さが魅力かな。このあたりで満腹感が出たので、現時点でキューン猟盤は無事終息している。いやECM外での欧州ジャズは若干の飛び火。それは後日に。
------------------------------------------------------------
Rolf Kühn, Joachim Kühn: Transfiguration(1967, SABA)
A1. Transfiguration (Rolf Kühn) 13:48
A2. Lunch Date(Joachim Kühn) 8:22
B1. Solo Flights(Joachim Kühn) 12:30
B2. But Strokes Of Folk(Joachim Kühn) 9:00
Rolf Kühn(cl, b-cl), Joachim Kühn(p), Karlhanns Berger(vib), Bab Guérin(b), Aldo Romano(ds)
Clarinet, Bass Clarinet –
Design [Graphic Work], Layout [Lay-out] : Gigi Berendt
Painting [Cover] : Wojciech Fangor
Engineer: Henning Rüte
Producer – Joachim E. Berendt
Recorded January 19, 1967 at Peter von Zahn Studio, Hamburg.