K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Cecil Taylor: Nefertiti, The Beautiful One Has Come(1962) 完成されたテイラー

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1976年頃の再発アルバム。1979年にカット盤で餌箱に入っていたコレを持ち帰った。2枚組で1800円くらいじゃなかったか。嬉しかった気持ちと、聴いて面白くなかった記憶が鮮明。ネフェルティティのタイトルを見て、ショーターの曲を演っている、という誤解もあった。以来の放置盤。

Candidのナット・ヘンホフ監修シリーズ?が、伝統ジャズと現代音楽の融合のような狙いが垣間見えるものであったものに対し、わずか1年後のライヴでは、その後半世紀のテイラーの音楽そのものに変貌している。驚きだ。今、聴いても、今の音楽として記憶されるのではないか。一気に成熟し、完成している。

マレイはパルスを細かく打ち続け、揺らせる。テイラーの粒だった音をは密度高く詰め込んでいく。無調であり、しかも美しい。まさにネフェルティティの名にふさわしい。ライオンズは比較的狭い音域のなかで躍動する。最初聴いた時は、坂田明との比較で、面白味を感じなかったが、マレイとテイラーが詰め込むパルスの差分に音を押し込むような、面白さに溢れている。

結局、面白くない、と40年近く前に思ったのは、楽器の音響的な面白みに感度が全くなかったから。だから(当時の)山下洋輔トリオの高速ドライブ感に強く惹かれ、その対比でつまらなく感じたのだと思う。

クラシックや現代音楽を聴いた後である今、とても面白く感じるのは、そのような位置付けにテイラーがあるから、だと思っている。現代音楽的な音をジャズのなかに溶かし込む、それが1962年に完成したのだろう。

後年のテイラーで気になるのは、同じような音列を組み合わせているようなマンネリ感を感じること。しかしこのアルバムのなかでは、様々な音を紡ぎだし続けており、驚異的である。

暫くテイラーを聴き続けるが、そのなかでボクのなかの「マンネリ感」がどうなるか興味津々である。

このアルバムは1枚のアルバムの未収録テイクを足し、2枚組にしたもの。音質は極めて良い。ディジタル音源では更にテイクが足されているようである。

Nefertiti, Beautiful One Has C

Nefertiti, Beautiful One Has C

 

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Cecil Taylor: Nefertiti, The Beautiful One Has Come(1962, Arista Freedom)
A1. Trance(Cecil Taylor) 8:55
A2. Call(Cecil Taylor) 8:44
A3. Lena(Cecil Taylor) 6:39
B. D Trad, That's What(Cecil Taylor) 21:26
C1. What's New (Haggart, Burke)(Cecil Taylor) 12:10
C2. Nefertiti, The Beautiful One Has Come(Cecil Taylor) 9:10
D1. Lena (Second Version)(Cecil Taylor) 14:22
D2. Nefertiti, The Beautiful One Has Come (Second Version)(Cecil Taylor) 8:00
Cecil Taylor(p), Jimmy Lyons (as), Sunny Murray(ds)
Recorded Live at the Cafe Monmartre, Copenhagen, Denmark, Nov. 23, 1962.

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