1975年録音の日本盤を再発したもの。ボクはレコードで聴いている。非常に録音が良い。音空間に3人が配置され、対峙する様子、張り詰めた空気が生々しい。そして残響過多でない空間は、むしろ背後に漆黒の闇のようなものを感じさせ、3人の対話が流れ込んでいく。面白いことに、聴き手に迫り出すような感じではない。アナログ盤が与える近接音場が、むしろ遠くから3人を俯瞰的に観察させるような座席を用意している。
ジャズ的な語法は薄く、レイシーも管から様々な音を出そうとする物理的な挙動、を伝えてくる感じ。ピアノもある種の緊張感を与え続ける。その間にあって、空間の装飾音のようなものを小杉武久が振りまいている。そこが日常/非日常の音の境界を揺らいでいるような、不思議な印象を与えている。弦の音も軽く、かなり性格が異なる3者の音が溶け込んだ空間を愉しむことができる。
かなりジャズからは遠い即興音楽ではあるが、小杉武久(初めて聴く)の様々な音が環境音を愉しむ入り口、のように感じはじめている。それがスタジオ内での彼らの身体的な動き、を想起させている。やばいぞ。
ディスタント・ヴォイセス(紙ジャケット仕様) [Limited Edition]
- アーティスト: 高橋悠治,高橋悠治+佐藤允彦,小杉武久,スティーヴ・レイシー
- 出版社/メーカー: 日本コロムビア
- 発売日: 2006/06/21
- メディア: CD
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Steve Lacy, 高橋悠治, 小杉武久: Distant Voices (1975, Columbia==>Aguirre Records)
A. Distant Voices 20:39
B1. Flying Off 10:15
B2. Midsummer Blues 7:18
Steve Lacy(ss, timpani, performer), 高橋悠治(p, celesta, performer ), 小杉武久(vln, voice, fl [toy], perc., performe)
Producer: Tsutomu Ueno, Yoshiharu Kawaguchi
Recorded by Mixed by – Kaoru Iida
Remastered by Rashad Becker
Recorded June 24, 1975 at Nippon Columbia No.1 Studio, Tokyo. Remixed on September 30, 1975.