良かったなあというライヴとかレコードを聴いて、ちゃんと書こうかな、なんて色気を出すと、書けない。ニューヨークでのジョン・ゾーンは書き損なったし、ECMのアルバムを聴いても書けないでいる。
そんな訳で何週間か前のライヴ。休暇(代休)をとって、マイルを使って東京へ。そしてブルーノート東京へ。
アート・リンゼイはラウンジ・リザーズやアントン・ファイアーのセッションで知った。ただのノイズ・マシーンとしてのギター。リズムすら刻んでいない。アクセントだけの破壊音。それだけに強い印象が残った。
メロウな歌声とノイズ・ギターのアルバムになった近作は、つい最近聴きはじめたのだけど、何となくラウンジ・リザーズの頃の音を想い出させる部分もあって気持ち良い。
勿論、それはリンゼイのギターなのだけど、それだけでなく、メルヴィン・ギブスのベースも少なからず、いや大いにあると思っている。ラウンジ・リザースの頃、BAGのボウィ兄弟のデファンクトのベーシストだったのだ。
そんな事もあって、無理矢理聴きに行くことにしたのだ。
メンバー:
Arto Lindsay(vo,g), Paul Wilson(key), Melvin Gibbs(b), Kassa Overall(ds)
Blue Note Tokyoのような大きなハコに向いた奏者じゃないと思っているし、どうかな、と思ったが、思いの外よかった。満席にはほど遠い客席ではあったが、リンゼイを聴きたい、と思っている客の空気が濃厚で。一発目のギターの乱打でオオッという、どよめきで、親密な空間に進化。Blue Noteのスタッフから、時間が押しているご注意を受ける程、リンゼイもノっていた。
聴いて思ったのは、甘い唄はともかく、ギターは成長も成熟もしていない。最近買ったDNAの頃と同じ。だからラウンジ・リザーズで聴いた40年近く前の可笑しさ、を想い出して、凄く楽しかった。懐かしい。
メルヴィン・ギブスだけど、裏方的なサポートに徹していながら、しっかりとしたグルーヴを与え続けていた。デファンクトのような、盛り上がりはないのだけど、彼のかっちりとした音があって、リンゼイの雑音がクローズアップされるのだと思った。
ところで何となく頭の中で、ウッディ・アレンと同じディレクトリに入っているのだけど、似た風貌や雰囲気だから? 何でだろう。