K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Linc Chamberland: A Place Within (1977) 買う必要もないが、買っても悪くないアルバム、は楽しい

f:id:kanazawajazzdays:20181216204601p:plain

今日、DUで買った安レコードを早速聴いてる。キングの廉価盤で700円くらいだったかな。この頃の日本盤は概ね質が良いので、まあいいかな、と思う。このキングレコードの廉価盤は少し泣かせるシリーズ名「MUSE原盤−隠れた秀作シリーズ」。1983年の発売。

伝説?の「幻の名盤」ブームは1970年代後半。これはアート・ペッパーのイントロ盤やドナルド・バードトランジション盤とか、確かにね、かもしれないが、ミューズの隠れた秀作とは何だろう。名盤と云わないところが、奥ゆかしい。

ライナーノートの裏面に出ているリストをみると、マルティーノ、キューン、ビシップjr、スティット、リチャード・ディヴィス、隠れていない人ばかり。当時、ミューズのアルバムが系統的に発売されていなかったので、漏れが多く、国内盤的に隠れていただけ。当時は通販は一般的でなく(勿論)、街のレコード屋が主流だったので、国内盤で漏れると、確かに隠れていたのだと思う。

しかし、このレコードは違う。リンク・チェンバーランドという奏者はその後も隠れっぱなし。殆ど出ていない、と思ったら、1987年にこの世を去っている。wikiをみても、実にレコードは少ない。

Linc Chamberland - Wikipedia

肝心の内容なのだけど、案外、面白い。1970年代の熱気はそこそこ感じる。何よりもリーブマンの参加が効いていて、彼のソロが場を取っていく感じ。だから確かに「隠れた秀作感」が結構あるアルバムに仕上がっている。

当時のリーブマンのアルバムより、肩肘が張ってなく、伸び伸びジャズをやっている感じも悪くない。チェンバーランドのギターは、ペケペケと早弾きをするのだけど、物理的な速さ、ほどは早く感じない。そこが残念なのだけど、当時のTBMアルバムなんかに通じる時代の音が懐かしく、それで十分満足してしまった。流氷の渡辺香津美、と同じ時代だよね、って感じで。

買う必要もないが、買っても悪くないアルバム、は楽しい。



-----------------------------------------------------------------
Linc Chamberland: A Place Within (1977, Muse Records)
A1. Indeed 3:55
A2. Stella By Starlight 8:53
A3. Mahjong 8:01
A4. What's New 2:12
B1. A Place Within 8:02
B2. 1957 7:45
B3. Three Thing 4:44
Linc Chamberland(g), Dave Liebman(ts,ss), Lyn Christie(b), Bob Leonard (ds)
Engineer: Skip Juried
Producer: Fred Seibert
Recorded June 16 & 17, 1976 at Dimensional Sound, NYC.