K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Alexander Von Schlippenbach: First Recordings (1972) シュリッペンバッハのレコード

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今年は頑張ってライヴに出かけたが、白眉はシュリッペンバッハ・トリオだった。

シュリッペンバッハは苦手、1980年頃に聴いたグローブ・ユニティのライヴでそう感じた、ことを今まで引っ張っていたが、間違いであることが分かった。

ということで、少し聴きはじめている。またグローブ・ユニティも聴き直そうと思っている。
これはTrostレーベルで発掘されたシュリッペンバッハ・トリオの初期の録音のレコード。てっきり、FMPのアルバムの復刻と思っていたが、今回が初出であったみたいだ。録音を聴くと、FMPらしい、かちっとした硬質で低めの録音だったからだ。レコードで聴くと実に塩梅が良く、何回も聴いてしまった。 

まずシュリッペンバッハのピアノの音の強靱で、かつ美しい打音に惹き込まれた。そして伝統的なジャズの延長線からのスタート、そこが実に美味しい、が楽しい。少し前に、ハンペルの1960年代のアルバムを聴くと、シュリッペンバッハの凜としたジャズ・ピアノが印象的だった。そこから今に至る長い音の旅なのだ。

 その後、ローヴェンスの突き上げるようなドラム、米の奏者と比べ、打楽器的な乾いた音。それが大音量でパルスを放出する。北陸は今、冬の雷の季節。遠雷なのか打音なのか、よく分からない瞬間があって、何となく可笑しかった。

その後に加わるエヴァン・パーカーIncusでの空間的な演奏ではなく、フリー・ジャズ的な咆哮。これも意外感があって面白い。ブレッツマンのように聴こえなくもない。これはFMPの公式盤ではないのだけど、何となくFMPの音かな、と思わせる愉しさ。

そんな訳でシュリッペンバッハを聴いてこなかったことが残念だったのだけど、今更ながら聴きはじめているのだ。

追記:同時期の山下洋輔トリオと競っている感じが面白いなあ、とも思った。甲乙つけがたい。ともに垣間見えるジャズ的な味、が美味しいバンドだ。


First Recordings

First Recordings

 

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Alexander Von Schlippenbach: First Recordings (1972, Trost)
A1. Deals Pt.1
B1. Deals Pt.2
B2. Village
Alexander Von Schlippenbac(p), Evan Parker(ss,ts), Paul Lovens(ds)
Producer: Jost Gebers, Konstantin Drobil
Recorded by an unknown engineer April 2nd 1972 during the Workshop Freie Musik at the Acadamy of the Arts, Berlin.
Note: Two titles from this concert - available only on the CD Trost TR 132 - ("With Forks And Hopes" and "Then, Silence") previously released on "For Example - Workshop Freie Musik 1969 - 1978" FMP R1/R2/R3 (LP 2 > R2) in 1979.