K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

João Gilberto, Stan Getz: Getz/Gilberto '76

João Gilberto, Stan Getz: Getz/Gilberto '76 (1976, Resonance Records )
A1. Spoken Intro By Stan Getz 1:07
A2. É Preciso Perdoar 5:50
A3. Aguas De Março 5:46
A4. Retrato Em Branco E Preto 4:47
A5. Samba Da Minha Terra 3:20
A6. Chega De Saudade 3:42
A7. Rosa Morena 4:25
B1. Eu Vim Da Bahia 4:11
B2. João Marcelo 3:20
B3. Doralice 3:47
B4. Morena Boca De Ouro 3:34
B5. Um Abraço No Bonfá 4:38
B6. É Preciso Perdoar (Encore) 6:29
João Gilberto(g, vo), Stan Getz(ts), Joanne Brackeen(p), Clint Houston (b), Billy Hart(ds)
Recorded live at Keystone Korner, San Francisco, May 11-16, 1976

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 エヴァンスのMPSセッションと同じくResonance Recordsの発掘盤。エヴァンスと違って、ジルベルトとゲッツの音源は極く限られているから、音質云々以前に、まず再発そのものが嬉しい。また、録音自体は籠もり気味なのだけど(カセットテープか?)、そんなことが気にならないくらい、ジルベルトとゲッツが捉えられていて、リズムセクションがオフ気味というのも、絶妙のバランス。それでいて、キーストンコーナーの店内の空気もしっかり入っていて、気分がよい。

 そして、レコードで聴く愉しみ、を強く感じるのは、二人の音圧。間近で唄い・弾く。最前列で聴いている感覚が嬉しい。

 それにしても、ゲッツとジルベルトが不仲で、1976年に吹き込まれたColumbiaでの吹き込みもオーヴァーダブだという説もある。ジャケットの写真がコラージュ風で、二人を同時に撮しているようには見えないし。しかし、仲がいいかどうかはともかく、ライヴでゲッツのカルテットに客演しようか、という程度の関係は維持できていたようだ。で、演奏中も二人はなかなか良い空気を作っているのである。

 内容的には、ゲッツ・ジルベルトをライヴでやりました、そのもの。編成がシンプルであり、リズムセクションも大胆にオフ気味。ジルベルトの独演会にゲッツがご機嫌で参加している趣。だから、ゲッツ・ジルベルトよりも、ジルベルトの味を楽しめる素晴らしいライヴ。ゲッツも決してうるさくなくて、本当に控えめで絶妙。麗しい。

 先日、キーストンコーナーがあったサンフランシスコからの帰途、機中の映画で小切手の偽造犯の物語、をみた。天性の詐欺師である主人公の少年(17歳!)がニセ・パイロットになってホテルに滞在中、ゲッツ・ジルベルトのボッサが流れていた。幸せだった60年代の米国を描く小道具の一つ、パンナムとともに。そんな時代の音楽でありながら、未だ光りを失わないジルベルトの音楽の強度、は凄いなあ、といつも思う。

Getz/Gilberto '76 [12 inch Analog]

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ゲッツ/ジルベルト '76 [輸入CD][日本語帯・解説書付]

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