齋藤徹、沢井一恵: 八重山游行(1995)
1. ニライ
2-1. 黒南風
2-2. 海を渡るアマミク
2-3. 潮道
齋藤徹( Contrabass), K沢井一恵(Koto,17 Sstrings bass koto)
石垣島 アトリエ游にてライブ録音 1995年
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ここ1年くらい、入手できないか、オークションやら何やらを見ていたが、思わぬ事に、故人のshopにいつのまにかアップされていた(もとからあった、のを見落としていた?)。ということで入手。
この頃のアルバムが凄く気になっていて、というのはパナリが凄く良かったから。広大さを感じさせる音響空間のなかで跳ねるようなベースの音。ジャンルから脱し、ベースの音が沖縄の海辺で響いている、それ以外の何者でもない簡潔な在り方と存在感。録音の良さもあり、とても美味しい。
その二匹目のドジョウ、的な発想で探していた、のだけど、それだけでもない。
まずタイトルが秀逸。八重山游行。二重に周縁的な意味を際立たせている。日本というクニの周縁である沖縄の更なる周縁。皇居というニッポンの引力圏の果て。遊行というコトバから、時宗の遊行寺が思い起こされ、あれも確か周縁的な人達の教えでなかったか、どうだったか。そんなことを思い起こしていた。
このアルバムの音も、ジャズや邦楽からは周縁的な音楽に違いないのだろうが、その音の存在感、に圧倒される。解き放たれた音の軽やかさと、圧力の強さに驚いてしまう。全編、弦の音の楽園。浸れるだけ、浸っていたい。
周縁こそ裏返って、中心たる力を持ち得、そして輝く、そんなことをぼんやりと意味もなく感じたりしていた。
追記:
そんなことをボンヤリ考えたりしたのは、日本の中心で挙行された大嘗祭を見たり、あるいは中国の周縁たる香港の騒動を見たり、そんなこともあるのだろうな、って思った。