K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

須川崇志: Time Remembered (2019) 奏者の音の粒立ち、のようなものを

須川崇志: Time Remembered (2020,Days of Delight)
1. Time Remembered
2. Yoko no Waltz
3. Nigella
4. Banksia
5. Under the Spell
6. Lamento
7. Largo Luciano
8. Yoshi
須川崇志(b), 林正樹(p), 石若駿(ds)
2019年7月31日録音
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美音のアルバム。今年はじめ、雪の中を古川まで出かけて聴いたトリオの素晴らしさが印象に強かったので、次のアルバムが待ち遠しかった。

https://dailymusiclog.hatenablog.com/entry/2019/03/12/114129

前作ではimprovisationが巧く音響的な効果を発揮していて、音の飛翔感による快感度が高いアルバムだった。

https://dailymusiclog.hatenablog.com/entry/2019/01/15/125347

今回はメンバーも違い、またアルバムの色合いも違って、遠心力よりは求心力が強いジャズのアルバム。期待したような飛翔感はないのだけど、ベース、ピアノ、ドラムのどの音も美しく、それが浅く絡み合う感じ。だから、前作から続けて聴くと、高揚感のようなものが足りない感覚に囚われてしまうのだけど。

宣伝の惹句にはリハーサルなし、少なめの即興的な云々が謳われているが、どうなんだろうか。聴き手からすると、どうでもいいような気がする。聴いた感じは、よく造り込まれた演奏を聴いている、である。そして奏者の音の粒立ち、のようなものを愉しむアルバムになっている。それが緩い毒になっていて、随分と繰り返し聴いている。多分、前作よりも。

参考記事:

http://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2020/02/post-b51023.html