K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

浅川マキ:東京挽歌・アーメンジロー(1967)寺山修司との出会いが浅川マキ誕生か

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今、浅川マキ没後10年で金沢では幾つかのイベント、ライヴや写真展が計画されている。先日のもっきりやでのライヴも何だか法事に招かれたような不思議な感覚で面白かった。

そのなかで、寺山修司との出会い、蠍座での公演が「浅川マキ」を誕生させた、話を伺った。確かにその後のアルバムを聴いても、あの寺山修司的な匂い、が暫し続き、次第にジャズ奏者との交叉により薄まっていったように思う。

面白い話だったのだけど、少し引っ掛かりがあったので、デビューシングルを久しぶりに聴いてみた。

この1967年のデビューシングルを聴くと、もう既に「浅川マキ」以外の何者でもなく、アーメンジローの詞も後年(浅川マキの世界)のものと全くの地続き。作曲は山木幸三郎でジャズとの接点も濃厚。

彼女のデビューで足りなかった「ブランディング」的なものが、寺山修司であり、アンダーグランドという惹句であることが分かる。そのような時代のプロデュースを得て、飛び出していった、ということなのだ。

 

[2014-02-12]寺山修司以前のシングル盤

遅ればせながらのファンで、浅川マキのLPレコードを随分と買った。1970年代のものは簡単に揃って、1980年代後半以降のものは難しい。要は、あまり流通していない様子。また、このデビューシングル、寺山修司との出会い前、もなかなか出ない1枚。コレクターでもないのだけど、やはり欲しくなってオークションで落とした。

面白いのは、B面のアーメンジロー。浅川マキの作詞。完全に歌謡曲の世界の中にいるのだけど、歌詞は後年のものと同じ空気で溢れている。独りぼっち、港、不幸な生い立ち、船乗り、死。なんともやるせない空気。彼女の「芸風」が最初から確たるモノであった、ということを知らしめる一枚、のようだ。聴いてみても、まったく違和感はなかった。面白い。

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