BlankFor.ms, Jason Moran, Marcus Gilmore: Refract (2023) 今年聴いた新譜のなかでも最高、いや、ここ数年で最高のアルバム

BlankFor.ms, Jason Moran, Marcus Gilmore: Refract (2023, Red Hook Records)
A1. Onset I (BlankFor.ms)
A2. Onset II(BlankFor.ms)
A3. Tape Loop A(BlankFor.ms, Marcus Gilmore)
A4. Affectionate, Painful(BlankFor.ms)
B5. Inward, Curve(BlankFor.ms)
B6. Tape Loop B I(BlankFor.ms)
B7. Tape Loop B II(BlankFor.ms)
B8. Tape Loop B III(BlankFor.ms)
C9. Eight Pose(BlankFor.ms)
C10. Stir(BlankFor.ms)
C11. Release(BlankFor.ms)
C12. Little Known(BlankFor.ms)
D13. Tape Loop C I(BlankFor.ms)
D14. Tape Loop C II(BlankFor.ms)
D15. Tape Loop C III(BlankFor.ms)
D16. Tape Loop D(BlankFor.ms)
BlankFor.ms(Tyler Gilmore) (electronics, tape loops, processing). Jason Moran(p), Marcus Gilmore(ds)
Engineer: Amon Drum
Mixing: Rick Kwan
Mastering: Taylor Deupree
Producer: Sun Chung
Recorded on 26-27 May 2022, at The Bridge Studio, Brooklyn NY
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旧譜ばっかり聴いているのだけど、新譜も聴く。

これは今年聴いた新譜のなかでも最高、いや、ここ数年で最高のアルバム、としてボクのなかに刻まれている。

ECMのアイヒャー後継と目されたサン・チョンのレーベルRed Hookから出ている。そのあたりの話は以下のwebで：

このレーベルの１枚めは菊地雅章の最後のソロ・コンサート。

サン・チョンによって、過剰な残響の付加が避けられ、自然な形で発売されて嬉しかった。

さて本題。タイラー・ギルモアのソロ・プロジェクトBlankFor.ms、この人はアンビエント、それにジャズのジャソン・モランとマーカス・ギルモアが加わったトリオ。交わらないように進行するアンビエント音とジャズが鋭く交差し躍動するときのスリリングな驚き、にときめいた。ノイズや電子音から、ふっと浮かび上がるモランのピアノの美しさに陶然とする瞬間、も繰り返しやってくる。BlankFor.msの背景音のなかで輝くモランのピアノ、という構図。ふっとジャズ的グルーヴが沸く瞬間のギルモアのビートもすごく良い、あまりそんな場面はないが。

音楽の内容、音響的な仕上がりも、ECMの進化版であることは明瞭。ECM時代のサン・チョン・プロデュースのアルバムを注目して聴いていなかったのだけど、面白いかもしれない、と思った。

独ミュンヘンから送られてきたレコードの盤面も美しく、全てに渡って満足。