K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

粟村政昭:ジャズ・レコード・ブック改訂新版(1975、東亜音楽社)ようやく手に入れた小さなガイドブック

ようやく手に入れた小さなガイドブック。噂には聞く名著である。流通している本の数が少ないようで、入手に難渋。

私がレコードを買いはじめた1979年には店頭にはなかったと思う。だから久保田高司のモダン・ジャズ・レコード・コレクションを購入して、いわゆる名盤を買い揃えるところから、はじめた。

今見ても、久保田高司のガイドブックのフラットな記述は頷ける点が多く、総花的なきらいはあるが、優れた本だと思う。

さて粟村は小さな本ではあるが、ジャズの歴史が凝縮されている重みがすごい。掲載された奏者の数190人もすごく、ディキシーからアヴァンギャルドまでの網羅感がある。多くが1ページ程度の短評であるが、鋭く名盤を突いている。そうレコード蒐集のバイブルなのである。文章が論理的で、好き嫌いにも理屈をつける。そこに説得性があって、感情的****とはガイドブックの格が違う。

概ね初版1968年の時点で筆は止まっているが、逆にディキシーランドジャズから新主流派まではカヴァーしている訳で、現時点でもレコード・ガイドとして完全に有効である。

右が保田高司のモダン・ジャズ・レコード・コレクション