ようやく手に入れた小さなガイドブック。噂には聞く名著である。流通している本の数が少ないようで、入手に難渋。
私がレコードを買いはじめた1979年には店頭にはなかったと思う。だから久保田高司のモダン・ジャズ・レコード・コレクションを購入して、いわゆる名盤を買い揃えるところから、はじめた。
今見ても、久保田高司のガイドブックのフラットな記述は頷ける点が多く、総花的なきらいはあるが、優れた本だと思う。
さて粟村は小さな本ではあるが、ジャズの歴史が凝縮されている重みがすごい。掲載された奏者の数190人もすごく、ディキシーからアヴァンギャルドまでの網羅感がある。多くが1ページ程度の短評であるが、鋭く名盤を突いている。そうレコード蒐集のバイブルなのである。文章が論理的で、好き嫌いにも理屈をつける。そこに説得性があって、感情的****とはガイドブックの格が違う。
概ね初版1968年の時点で筆は止まっているが、逆にディキシーランドジャズから新主流派まではカヴァーしている訳で、現時点でもレコード・ガイドとして完全に有効である。
右が保田高司のモダン・ジャズ・レコード・コレクション