金沢・東山「れのん」:遠来の知人とともに、音が吸い込まれていくような東山へ
東山の夜
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この2年程、時間に余裕があるためか、気分の好不調をはっきりと感じる。大体は3ヶ月周期。年4回、不調も好調も平等にやってくる。好調といってもテンションが異常にあがることもなく、不調といっても普通に寝ることができるので、病的というより四季にあわせて気分が上がったり下がったりしているだけかもしれない。この一ヶ月は不調。拗ねたような気分で、引き籠もり気性になる。人とは会いたくなくなるのだけど、同時に人恋しさも募る厄介さ。困ったものだ。好調なときは人と会ったり、独りを楽しめるのにね。
そんな訳で、ここのところは遠方に呑みに行くのも億劫で、大抵は近所で済ませている。一番の遠征が「杉の井」さんで、犀川を超えていない!
先週が不調期から好調期への遷移時期だと感じてきたので、連休中は景気づけに随分呑んだ。ほんとうに驚くほど呑んだ。木曜は近所,金曜は東山・れのん、土曜は神戸、日曜は近所、月曜は安江町のちゃこーる堂から近所。付き合って頂いたお知り合いの皆さん,有難うございました。爽快な気分と、体重2kgを獲得して、今週に至っている。(ランニングのタイムもしっかり落ちたので、米飯抜き生活中。)
ボクは東山で呑むのが好きだ。音が吸い込まれていくような不思議な感覚があって、酔いがまわるに従って、空気に溶けていく。会話も楽しいのだけど、会話が途切れたときの音の暗闇。深い淵を覗き込んでいるような感触。なにかに触れているような感覚。確かに浅野川を超えると、空気が変わるような結界みたいなものを感じるときがある。だから、東山に出かけて呑みたくなった。
そんな訳で遠方から来た知人と東山の「れのん」まで出かけた。職場から知人と出かける。自由軒の前からしばし東の茶屋街の灯火を楽しんでもらう。初めての人は驚き,よろこぶ。それが嬉しい。「れのん」は観音坂の通りの店で、全く人気がない静けさ。スナック風の造作なのだけど実は料理が美味しい。だから東山で一番良く行く店。
店主は山登りをされる方で、ボクと比べようもない本格派。つらつらとする山の話が本当に楽しい。早春のチブリ尾根をアイゼン付けて登る話には、心惹かれてしまった。
そんな東山での呑みは、とても静かで気持ち良いものなのだけど、同行の客は弱くて、すぐダウンで帰って行った。予想範囲だったので、近所から控え選手2名に駆けつけて頂いた。酒精道では控え選手が一軍(あるいは監督)で、客が二軍なのだけど。
ボクは日本酒からワイン(2本半ほど空けた)という悪酔いまっしぐら。でも気を許せる緩いメンバーなので、意識が起きたり・寝たりの緩い呑み。ふと覚醒したときに無音のなかにいる、というより無響室のような空気の感覚に晒される気持ち良さ。ご機嫌で「れのん」を後にして小雨のなかを帰宅した。
「れのん」での料理の写真を少々。途中で面倒になったので、あまり撮らなかったけど。治部煮(要予約)や蓮蒸しも良かった。写真は刺身,麩の田楽,蓮根の天麩羅。黒帯ぬる燗でトロトロ。