K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

赤摩木古山(1501m)、見越山(1521m)、奈良岳(1644m):十五夜の月におくられブナの山の縦走へ


先週の月が満ちたる頃、山に出かけた。奈良岳への縦走。二週連続であり、この辺りのコトバでは「だらなこと」。馬鹿みたいに入れ込んでいる、ように見えるだろうな。市ノ瀬からの白山・別山縦走で随分と右足を痛めていたので、やはり「だらなこと」だったのだけど。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

最近、本業での課題が多い。だから意識的に気持ちのギアをチェンジし集中している。そんなときは、とても乾いたような感覚となって、時間の流れがとても速くなる。そして川だとか月だとか、あるいは風だとか空気が運んでくるであろう、この地の便りのようなモノへの感度が随分落ちてしまっているようだ。だから山に登った日、はじまりが夜明け前に西の空にてらてらと輝く十五夜の月であり、おわりが天蓋で揺らいでいる満ちた朧月。そんな月ではじまり月で終わった一日だったのだけど、なにかとても懐かしい感じがした。

そんなコトを考えながら友人Kさんと、はじめて会うワカモノ君と3名で山に向かった。真っ暗ななか北陸道から東海・北陸道五箇山へ向かう。先週の別山・白山から僅か一週間。実は右足を痛めているので少し心配な山行であったが、7月に雨で登り損なった奈良岳までは足を伸ばしたかったのだ。
(25年前に単車で当時住んでいた神奈川から「秘境」五箇山にやってきたことがある。「秘境(であった)」五箇山の変貌には、驚きを通りすぎて言葉も出ない。高速による景観の変化だけが問題でない。距離感,孤絶感の喪失が,都市との空気の均一化を将来し,あの五箇山が更地のようになくなっている。)

友人と連れだって行く山も楽しい。何か自分に課題を出し続けるような詰めた感じにならないので、言い換えるとボク自身と対峙しなくて済む部分があって気楽なのである。誰と真剣に付き合って疲れるかと云うと、ボク自身のような気がすることがある。

夜が明ける頃にブナオ峠に着いた。とても良い天気。鋭い朝の斜光にブナの森が浮かび上がっている。輝くような黄色。様々な黄色が尾根を覆っている。眩しい。黄色く色づいたブナの森がとても眩しい。ブナオ峠から大門岳の手前までは、気楽に登れる気持ちの良い尾根。他愛のないことを喋りながらのんびり登るのは楽しい。Kさんも心なしか足取りが軽くなっている。なかなかイイ感じの山登りを予感させた。白山の後は大変だったようなのだけど。

早々に稜線に上がって、一度行った大門岳には寄らないで赤摩木古山(1501m)、見越山(1521m)、奈良岳(1644m)の縦走に専念した。Kさんに展望の良い縦走の楽しさを伝えたかったから。この日は本当に良い天気で、稜線からは北アルプスが一望。剱から穂高,乗鞍,御岳まではっきりみえた。中央アルプス八ヶ岳?あたりまで。かつて歩いた立山から槍までの稜線を追うのは、なかなか楽しい。あれから20年くらいかなあと光陰の速さを噛みしめた。もっとも当時より目方が減って、体力アップしているので、長躯してみたいなあと欲が芽生えてしまった。

今回の登山ルートは標高も大したことがないし、登山口のブナオ峠が1000m近いため、楽なルートのように見える。しかるに、小刻みに200mくらいの登高・下降を繰り返すので、登高距離は1300m、歩行距離13kmとななる。だから別当出合からの白山往復と変わらない。Kさんに丁度のコースなのだ。

昼前には奈良岳に着いた。いい天気。白山との間には大きく大笠山(1821m)が鼎立し、立派な山容。この地域の次の目標は決まった。午後からは、気持ちの良い雲が流れはじめ、夕暮れが近づく中、朝とは違うスペクトラムからなる斜光のなか、赤い葉の輝きが増していた。朝は黄色、夕は赤色。ボクは路傍に散っている落ち葉を何枚か拾い上げて、ザックに仕舞った。今日の残照のカケラを押し葉にしようと思ったのだ。

こんな気持ちになるのも、あまり厳しくボク自身と対峙しなくて済むからなんだなあ、としみじみ致しました。のんびり登山もいいもんだなあ。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
登山記録
06:40 ブナオ峠
08:05 大門分岐
08:45 赤摩木古山
10:30 見越山
11:15 奈良岳
11:50 奈良岳出発
16:20 ブナオ峠
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

カメラのレンズ故障でピントが甘いのはご容赦。


登山口があるブナオ峠

稜線から見た奈良岳


五箇山は沸く雲の下               遠く剱・立山方向


槍・穂高方向                   奈良岳のあたりからは金澤や日本海兼六園がわかりますか?


大笠山の肩越しにみえる白山


午後からは高い雲が沸いてきた