K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Steve Kuhn: Motility (1977) サックスが入ったOcean in the skyもいいじゃないか

ECMのジャケットは素晴らしいのでアップ。LPレコードを手にしていても惚れ惚れ。それにしてもSteve Kuhnって性的あるいは悦楽的なWordを入れるのが好きなのだろうか。ジャケットをみてください。

--------------------------------------------------------

Motility (1976, ECM)

A1. The Rain Forest
A2. Oceans In The Sky
A3. Catherine
A4. Bittersweet Passages
B1. Deep Tango
B2. Motility / The Child Is Gone
B3. A Danse For One
B4. Places I've Never Been 

Steve Kuhn(p), Steve Slagle(ss, as, fl), Harvie Swartz(b), Michael Smith(ds)

怒涛のような二ヶ月を過ごしている。出張続きの11月、来訪者続きで呑み続けた12月。この数日、小立野の上や、犀川の辺りを走っていたら、静かに気分のギアチェンジがあったようで、独りで静かに過ごす時間、それも音楽を聴いたり、本を読むような・うたた寝するような、そんな時間が愛おしくなっている。ふっと気がついたら、ピンと音をたてるような空気、あるいは裏の竹やぶを揺らす嵐のような流れ、あるいは窓から漏れる金色の透き通った光、そんなことを感じる時間。

とは云っても、30年来(に近い)付き合いの友人二人がやってきて、二日ほど金澤に滞在している。だから昨日は6時前に起きて、長距離バスで着いた友人を迎えに行ったのだけど。大きな金澤の空を見せたくて、犀川のあたり、長良坂から櫻坂を散歩して歩いた。医王山から白山に続く白い山嶺、を嬉しそうに語ってしまった。そして、夜半まで呑む、呑む。それでも、きっと随分静かな気持ちは変わらなくて、こんな気分で年末を迎えるのかな、と思う。

そんな数日なので、買い放しのLPレコードをゆっくり聴いて過ごしている。これは先日、横浜の関内ディスクユニオンの餌箱から取り上げたモノ。僅か500円くらい、というのは訳があって、独ECM盤ではなくて米Polydor盤。独盤がやっぱりいいのだけど、ボクのなかでは米Polydor盤も合格。日トリオ盤より、テープヒス音は目立たない。まあお買い得感はある。

ボクはSteve Kuhnは好きで、ブログでの紹介は3枚目。でも面白いコトに、Kuhnって普段はほとんど意識していなくて、はずみのような感じでふっと音を聴いてみたくなるような存在。意識のなかの存在感が大きい、ジャズだとKeith JarrettBill EvansHerbie Hancockたち、とは随分違う。それでもMotilityを聴いていると、ピアノの鳴り方がとても綺麗だし、確かに惹き付けられるモノを強く感じる。一音一音がとても丁寧。

このMotilityは、ボクにとってはじめてのサックス入りKuhnのリーダ作。今まで何故か、サックスが入ったモノは持っていなかったし、そもそもサックス入りがあるのかどうか、も感心がなかった。たまたまディスクユニオンの廉価餌箱に入っていたから買ったのだ。

聴いてみると、とてもECMらしい音造りで、ソロやピアノトリオを聴く気持ちから大きく乖離しない音の風景になっている。サックス・フルートは音のピースとしてはめ込まれているが、全面に出てくるような音にはなっていないのだ。勿論,ソロもとっているし、メロディラインも吹いているのだけどね。何でだろうか。丁度,Bill EvansのAffinityみたいな感じ,といって分かって貰えるだろうか。それにしても、サックスが入ったOcean in the skyってイメージがなかったのだけど、とても豊かな音造りになっていて、よかったなあ。ピアノトリオよりも、やや外向的な音造りで色艶もとてもいい。

それにしてもLPレコードで聴くECMの音は素晴らしいなあ。すっかり部屋に沈殿したくなってきた。今朝は、滞在中の友人達と湯涌温泉までランニングをして、一風呂浴びて帰ってきたので、心地良い倦怠感のなかにあるから。と云っても、神奈川へ帰っていく彼らと早い夕食に出かけなきゃいけないのだけど。