K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Keith Jarrett: Sun Bear Concerts (1976) 日本盤を手に入れて西独盤と比較した

 今朝はキース・ジャレットのサン・ベア・コンサートを聴いていた。1976年の日本ツアーを収録したソロ10枚組。2年ほど前に,西独盤のLPレコードを手に入れた。10枚組。ずっしりと重い。

 これは日本の代表的な録音技術者である菅野沖彦氏が収録したECM盤。マスターテープを日本で制作したこともあり、日本盤と西独盤、どっちの音が良いか、気になって仕方がない。

 そんな訳で、先日、ディスクユニオンで安価な日本盤を入手。結局、両方揃えた(日本盤は安価で、当時のLPレコード1枚分+α)。学生の頃、京都三条の十字屋の店頭に飾っていたのを見ながら、手が出なかった反動だなあ、これは。2万円くらい、していたような記憶がある。

 日本のトリオ・レコードによるECMは、安直で質の悪い作り(音もジャケットも)なのでボクのなかでとても評判が悪い。トリオ・レコード自体は優れたジャズ・アルバムを残しているのに、なぜなんだろう。きちんとECMをrespectしているとは思えない。そのトリオのECM担当者のI氏が、著書の中で、キースのソロコンサート3枚組の箱の調色を間違えた話を書いている。色を間違えたので、アイヒャーの許しを特別にもらった、と得々と書いている。何をいわんや、である。一事が万事。音やジャケット質感の悪さ、も納得させたのだろう。

 ところが、このサン・ベア・コンサートの日本盤は大別格。レコード盤の持つ潤い、のようなものが全く違う。やれば出来たトリオ・レコードなのだ。

・上の写真で、硬質のカヴァーがついているのが日本盤。西独盤は薄いダンボールがインナー風に。

・普段は黄色い、安っぽいトリオのECMだけど、なんとキースのサイン入り特別デザイン。調色も少し凝っている。


・あと中の沢山の写真の質感は同等。日本・西独の印刷レベルに差はない。

・日本盤には日本語の解説。そのなかに菅野沖彦の話が。サンベアコンサートの命名の由来が。札幌に向かう前に呑んでいて、ヒグマの話が大受け。ヒグマをDay bearとかSun Bearとか適当な翻訳をしたのが、ということらしい。


・肝心の音質だが、日本盤は他のトリオECMとと違い、キレイに高音が伸び、通常のトリオECMよりも随分いい。西独盤は定番の音なのであるが、日本盤はそれより若干メリハリが良い(米盤みたい)ようにきこえる。

 日本盤でも十分で、コスト・パフォーマンス的には抜群、という結論。日本盤のサン・ベア・コンサートを買うべし,である.

 それにしても、重たいレコードを2組持って馬鹿だね、って改めて思うのだけどね。