K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Silvia Iriondo: tierra que anda

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Silvia Iriondo: tierra que anda (2002, Carmo)

1. ALAS DE PLATA (Silver Wings)
2. LA ARENOSA (The Sandy Land)
3. ZAMBA DE AMBATO
4. LA COCINERITA (The Little Cook)
5. DE NEGRAS Y NEGROS (Of Black Girls and Black Boys)
6. VÁMONOS VIDA MIA (Let’s Go My Life)
7. VIDALERO
8. COPLAS AL AGUA (Verses to the Water)
9. TUN TUN
10. 1VIEJO CANTOR (Old Singer)
11. WEQUE and LAS BARBAS DE MI CHIVATO (The Beards of My Goat)
12. ALPA PUYO
13. LA CRUZADITA (The Crossed Song)
14. LA NOSTALGIOSA (The Nostalgic Song)

Personal:
Silvia Iriondo(vo), Quique Sinesi(g), Juan Quintero (vo), Patricio Villarejo (violoncello), Mono Hurtado (b), Mario Gusso (perc), Silvina Gómez (perc), Lilián Saba (p), Mariana Grisiglione (vo) and others

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気の赴くままにCDを注文しているときがある。どんな経緯で注文したか全く記憶にないのだけど、昨夜帰宅したらポストに入っていた。たぶん酔って注文したのだろう。ジャケットがとても好みの感じで、店舗でのジャケット買いに近いノリだと思う。パンパの端っこを大きな太鼓を背負ってゆく旅芸人の写真が醸しだすノスタルジイか。それにしても、どんな係累で検索できて注文したのだろうか?大当たり、だった。

注文するときも酔っていたに違いないのだけど、届いた便の封を切るときも、酔っていた。大きな椅子に座って聴いているうちに眠ってしまった。とても気持ちがよかったから。夜明け前,強い風が吹き竹藪がざわめき、障子越しの閃光とともに雷鳴が幾つかおちた。もう一度このアルバムをかけてみると、音の温度感が気持ちにぴったりきた。戸外はとても騒がしく、風で安普請の借家も震え、共鳴音がきこえるのだけど、ボクの部屋の中は静謐な音空間が広がった。とてもひんやりとした音が続く。コトバにすることは難しいのだけど、気持ちを刺すような冷たさ、ではなくて、だれもいない茫茫とした広がりのなかで遠くでひかる頂きを眺めているような感覚。冷ややかなのだけど、そのひかりが気持ちのなかにすっと入っていくような。今の気持ちにとてもしっくりくる。

これはアルゼンチンのフォルクローレ歌手のアルバム。2002年にアルゼンチンで出た後,欧州ではECMからリリースされているようだ。多くの演奏者がクレジットされているが,2〜4人程度の小編成での曲ばかり。Silvia Iriondoの唄声は透明感が強く、ボクの好み。 Quique Sinesiのギター、控えめでしっかりとした歌伴がとてもいい。フォルクローレってあまり好きじゃないのだけど、ECMと同じような音空間のなかでフォルクローレが軽く味付けされていて、それが仄かな暖かみになっている。

何枚か入手したカルロス・アギューレのアルバムとともに、アルゼンチンの演奏家の良さを改めて認識させるものになった。そんな訳で、今朝はしっかり意識して別のアルバムを注文した。とても楽しみ。

tierra que andaの意味が知りたくてgoogle翻訳でみたら、「地球歩く」。グロバリゼーションと称した境界の溶解時代を生きるボクたちに、やはり帳の向こうがあって、香り立つような音世界が浮かび上がっていることを知らしめているのだ。

そういえば、これは若い友人J君の好みの盤だなあと気がついた。忙しい(に違いない)年の瀬なのだけど、こんな盤とかあんな盤とか持ち寄って呑まないかあ,という気持ちになった。また呑みかあ、なのだけど。

Tierra Que Anda

Tierra Que Anda