K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

ジャズ会#17:ビートルズの時代を知っているか?


 キミはビートルズの時代を知っているか? 70年安保改定の年に解散。街には赤旗や角棒を振りかざした学生達がいて、ヘルメットにタオルでマスクしていた頃。

 ボクの世代はとても微妙。解散の頃、つまり万博の年1970年には小学校4年生。来日公演の騒ぎは「おとなの話」なんかで知っていたけど、ビートルズの何たるか、がわかる筈もない。よく分からない服を着て唄っていたタイガースとかの親玉だろうとか思っていた。全共闘ビートルズも残り香が少々で、リアルには人生には関わりのないコトなのだ。

 そんなボクがジャズを聴きはじめた1979年って、今から考えると1970年は僅か9年後なのだけど、ボク自身の年齢は倍近くになっている。その頃はジャズに夢中で、勿論、ロックやクラシックとか聴くような包容力を持ち合わせていなかった。だからレノンが射殺された翌朝の授業で、真っ赤な目をして授業放棄した英語教師、そう団塊の世代だよね、を軽蔑していた。彼の感傷に。村上春樹の「ノルウェイの森」の飛行機のシーンにも、同じような甘さ、「分かると思うけどさあ」のようなものを感じて、あまり好きになれない、今でも。

 それから30年、包容力がついた訳ではないのだけど、ジャンルという境界線に対する感覚が「いい加減」になったこの頃なのだけど、ビートルズ活躍の頃に生まれたK君から、ジャズ会でビートルズの曲を取り上げる提案があったとき、驚いた。彼にとって何なのか、ビートルズは?

 それはジャズ会のなかで語ってもらうとして、確かに解散から40年。ポップスの古典として、楽曲が独りで、それもしっかりと歩きはじめている。ボクがコール・ポーターの曲(All of youとか)やジェローム・カーン(Yesterdaysとか)と同じようにジャズの「素材」として扱われている。いい曲が多いのだ(多くがレノン・マッカートニのクレジット)。だから、それも悪くないと思い直した。

以下の文章の文責は、ビートルズの曲、アルバムはK君。ジャズなどのカヴァー曲は私。それにしても、今までアルバム単位で選盤していたのだけど、曲単位でやったのでK君と私の労力は普段の数倍。たいへん。K君、お疲れ様でした !

A. Please Please Me (1963)
『PLEASE PLEASE ME』はビートルズのデビューアルバム。
デビュー当時のビートルズはライブの意識が高かったので、ライブでそのまま再現可能な曲づくりをして、レコーディングは原則的に"一発録"だった。1963年の2月11日に、10時間で10曲のレコーディングをしたらしい。一発でこれだけの作品が残せるのだから、ビートルズがいかに演奏技術が高かったがわかる。

1. Do You Want To Know A Secret
(1) The Beatles: Please Please Me (1963)
JOHN/PAULの曲(主にJOHN)だが、ボーカルは、ジョージ・ハリスン
(2) Count Basie: Basie's Beatle Bag (1966)
 Count Basie Orchestra
これはK君が探したアルバム。笑えるぐらい趣味の悪いアルバムで,二人で笑ってしまった。素材としても使えていなくて、BasieはBasieの世界でしか語っていない。きっと、クリッド・テイラーか誰かに(Creditは確認していないけど)ジャリ・タレのカヴァーをやれと言われて、御大は怒りながらも金が欲しくて手抜きで作ったのじゃないかな?歌謡ショーのノリなので、笑いながら聴くアルバム
※ その他、Kが好きな『PLEASE PLEASE ME』収録曲
「I Saw Her Standing There」,「All My Loving」,「Twist And Shout」

B. A Hard Day's Night (1964)
カヴァー曲が多かった2枚目のアルバム『with the beatles』に続く、3枚目のアルバム。邦題は『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』。
ビートルズ初の主演映画『A Hard Day's Night』のサントラ的アルバム。
全13 曲のうち、ジョンの曲が10曲。ジョンの才能が爆発した作品。

2. And I Love Her
(1) The Beatles: A Hard Day's Night (1964)
ポールの単独曲。ポールのバラードは甘さが特徴だが、この曲のポールはジョンの影響からかハードでドライ。
(2) Ray Bryant:  The Ray Bryant Touch (1967)
  Ray Bryant(p), Jimmy Rowser (b),  Rudy Collins (d)
  つい先日亡くなった職人的なピアニスト。いぶし銀、なんて云われるタイプ。粋な感じでしょ。

3. If I Fell
(3) The Beatles: A Hard Day's Night (1964)
ジョンとポールが複雑に進行する美しいハーモニーを歌う名曲。ビートルズはジョンとポールが共同で画期的な曲をつくり、斬新な編曲をして高いレベルの演奏をし、そして全員歌がうまいコーラスグループでもあった。
(4) Helen MerrillHelen Merrill Sings The Beatles (1970)
これはK君持参のアルバム。ベイシーの冗談のようなアルバム程じゃないけど、何となく力が入っていない。1970年ってジャズの衰退期のボトムでビートルズ・カヴァーって感情的に複雑な企画じゃないかな。
※ その他、Kが好きな『A Hard Day's Night』収録曲。
「A Hard Day's Night」,「Can't Buy Me Love」

C. Help! (1965)
BEATLES FOR SALE』に続く5枚目のアルバム。邦題は『4人はアイドル』。二作目の映画『HELP!』のサントラでもある。ジャケットの4人は手旗信号で"HELP"を表していると思われがちだが、そうではない。

4. Yesterday
(5) The Beatles: Help! (1965)
この曲の誕生にまつわるエピソードは面白いですので、会場でお話ししましょう。ポールと弦楽四重奏だけによるレコーディング。他の三人は参加しないという積極的な意志によってこの曲が生まれた。
(6) Toots Thielemans: My Cherie Amour (1986)
 Thielemans (Harmonica, g, Whistli)
ハーモニカのシールマンスを密かに愛する人は多い。粋を音にしたようなジャズであって、決して大きな世界を語らない、自分だけの音を奏でてくれるような気がするから。
(7) John Coates jr.: The Jazz Piano Of John Coates Jr.(1970年代はじめ)
30年前にキース・ジャレットの師匠と喧伝されたヒト。米デラウェア州のクラブ「鹿頭亭(Deer Head Inn)」のハウス・ピアニスト。そこにキース少年が聴きに来ていたそうだ。それは師弟ではなかろうと思うが。その後、キース・ジャレットも「鹿頭亭」でのライヴCDを出しているから、彼なりの思いはあるのだろう。これはアメリカのマイナーレーベルから出されたもので,先日,ニューヨークで入手。といっても、昔は日本盤がありました。キース人気にあやかって。
(8) Donny Hathaway: These songs for you, live! (1971)
ビートルズ・カヴァーは白人・ラテン系優勢だと思うのだけど、この黒人歌手の唄は白黒問わない普遍性があり素晴らしい。だからファンク色が希薄で、その後の不振・自死に至った経歴は不幸としか言いようがない。
(9) Carmen McRae: Carmen Mcrae Live At Century Plaza (1968)
ボクはこのヒトの唄が好きで、エラやサラより何杯も好きなのは何故だろうか。微妙な声の取回しなのだろうけど、大きなホールよりも、小さなバーで聴きたい類の音に仕上がっているから。新宿DUGでのライヴ盤がある位だからね。粋なジャズになっていますよ。

5. Help !
(10) The Beatles: Help! (1965)
「アイドル稼業はうんざりだ、助けてくれ」というビートルズ初のメッセージソングだとこの曲の作者でメインボーカルのボーカルのジョンは語っているが、音は実にキャッチーでセンチで快活なポップス。ビートルズの曲にはこういった落差から生まれる哀愁がどの曲にも漂っている。
(11) Joyce: Music Inside (1990)
ボクが大好きなブラジルの新世代ポップス(MPB,と云っても70年代だけど)の唄い手。ボサノヴァの唄い手(ジルベルトとか)と比べると、ビートルズなどの1970年前後の音楽シーンの影響を知ることができる。

※ その他、Kが好きな『Help!』収録曲。
「Ticket To Ride」,「I've Just Seen A Face」

D. Rubber Soul (1965)
初期のビートルズは分刻みのスケジュールでライブやテレビや映画をこなしつつ、次々と傑作を生み出していたことが奇跡的だが、6作目の『Rubber Soul』から、レコーディングに時間をかけるようになってきた。

6. Michelle
(12) The Beatles: Rubber Soul (1965)
ポールはデビューする前からこの曲の原型をかいていたが、"アイラヴユー"を3回繰り返すパートだけは、その後ジョンがかいた。この3回繰り返しがないとこの曲は成立していない。ビートルズの曲はほぼジョン=ポールというクレジットだが、こうやってひとつひとつの曲が生まれたのだ。
(13) The Singers unlimited: A Capella (1973)
白人の声の結晶と初期のジャズ会のメモに書いた。音楽に何か救いを求めたいときに聴く音楽、だと思う。どこかに音楽で一杯の天国があって、その天国との糸電話のようなアルバムなのだ。
(14) Bob Berg: Another Standard (1997)
Bob Berg(ts), Dave Kikoski(p), Ed Howard(b), Gary Novak(ds)
80年代に期待されたテナー奏者。久々に聴いてみたけど,いい感じ。でも早くに亡くなってしまった。

7.Norwegian Wood (This Bird Has Flown)
(15) The Beatles: Rubber Soul (1965)
放っておいても名曲なのに、シタールの響きがこの曲をさらに強烈な印象にしている。歌詞は、まさに村上春樹の小説の一節のよう。
(16) Herbie Hancock:  The New Standard (1996)
Herbie Hancock (p), Michael Brecker (ts), John Scofields (g), Dave Holland (bass), Jack DeJohnette (ds), Don Alias (perc)
ハービー・ハンコックのセンスの鋭いところは,このアルバムのタイトルにも現れている。
(17) Milton Nascimento: Minas (1975)
ミナスとはブラジルの一地方。ブラジルの音楽家の一大故郷。Joyce同様、MPBの大家ミルトンが歌うビートルズ・ナンバーからは,彼らの音楽背景の一つであることを知らしめる。

※ その他、Kが好きな『Rubber Soul』収録曲。
「Nowhere Man」「Drive My Car」「Girl」

E. Revolver  (1966)
多重録音レコーディングの始まり。現在ごくごく一般的に使われているレコーディング技術や手法も、ビートルズから生まれていったのだ。タイトルの「回転式拳銃」とは、1966年6月にビートルズが来日したときに、あまりに警備が厳重で、並ぶ警官をみてポールが思いついたと言われている。

8. Eleanor Rigby
(18) The Beatles:  Revolver (1966)
『Revolver』からポールの才能がジョンの才能を上回るようになる。才能は比較できないとしたら、ポールのクリエイティブ能力が、ジョンの表現力より際立ってくる。この曲もそう。
(19) Harold Danko: The First Love Song (1988)
 Harold Danko(p), Rufus Reid (b), Mel Lewis (ds), Tom Harell (flh, tp)
欧州のピアニスト。iTunesの検索で出てきたけれど、聴いた記憶がない...
(20) Aretha Franklin: Aretha Live at Fillmore West(1971)
Aretha Franklin(vo), King Curtis(ts), Cornel Dupree(g) etc.
ゴスペル化したこの曲は、もはや別。バックのキング・カーティスが前座を務めた演奏が大好きで、コーネル・デュプリーのギターってやっぱりいいなあ,と思うのであります。ECM好きと方向が真逆なのだけど。
(21) Stanley Jordan:  Blue Note Plays The Beatles 2009
超絶・技巧のギター・ソロ。ブルーノートはアルフレッド・ライオン時代は1966年に終を告げて,リバティ系列に売り出されてから何だかよく分からないレーベルに成り下がっていた。ジャズ・レーベルとしての新生ブルーノート1984年代はじめにマイケル・カスクーナが復活させたのだけど,そのときの目玉がスタンリー・ジョーダン。なぜだか、その後は目立たないのだけど。

9. Here, There And Everywhere
(22) The Beatles: Revolver (1966)
この曲もポール。天才的。ポールらしいバラードだが、過去の曲と似ないように、歌い方やアレンジ、コーラスのつけかたが、これまでにないものに常にしているところが、ビートルズの凄いところ。
(23) The Singers unlimited: A Capella (1973)
本日、二回目の登場。
(24) Stephane Grappelli: Stephane Grappelli Live In San Francisco (1986)
 Stephane Grappelli (vln), Martin Taylor, Diz Disley(g), Jack Sewing (b)
ステファン・グラッペリは、ジプシーギターの名手ジャンゴ・ラインハルトとの双頭バンドのリーダー。欧州的な甘美なムードをたたえながらも軽快にスイングする演奏に多くのファンがいた。ボクも思い出したように聴くときがある。甘さが足りないときに。

※ その他、Kが好きな『Rubber Soul』収録曲。
「Good Day Sunshine」

F.Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band (1967)
ビートルズは1966年のコンサートを最後に、ツアー活動をやめた。以後はスタジオにこもってレコーディングバンドに変身した。が、常にライブバンドであり続けようとした。その結果、このアルバムは、スタジオでライブ感を表現した。ビートルズが架空のバンドをアルバムで演じているのだ。

10. A Day In The Life
(25) The Beatles: Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (1967)
大作だ。40人編成のオーケストラを4回重ねて、160人編成にしているという。曲の前半と後半はジョンがかき、中半はポールがかいた。最後の音を桑田佳祐は「核兵器が爆発する音」と解釈した。
(26) Wes Montgomery:  A Day In The Life (1967)
Wes Montgomery (g), Don Sebesky (arr),  Herbie Hancock(p), Ron Carter (b), Grady Tate (ds), Ray Baretto (perc)
ウェスがイージーリスニングに転身した頃の演奏。ボクは編曲のセベスキーの匂い(臭い)が気になって仕方がないのだけど、これは比較的ましな方かな。このウェスが早世して代役で飛び出したのがジョージ・ベンソン二匹目の泥鰌のほうが大きくなったけどね。

※ その他、Kが好きな『Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band』収録曲。
「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」「Good Morning Good Morning」

G. Magical Mystery Tour (1967)
大型バスにビートルズや仲間達を乗せてミステリアスな旅をしてそれを撮影しょうとポールが思いつき、実践されたが、旅行はあまり面白いものにはならなかったという。が、アルバムは傑作揃いだ。

11. Hello Goodbye
(27) The Beatles: Magical Mystery Tour (1967)
またもや、ポールの大爆発だ。反意語を並べただけのおかしな歌詞。最後は意味不明の「クチャ、クチャ」。ビートルズユニークさは、こういう遊び心にもある。
(28) Milton Nascimento: O Planeta Blue Na Estrada Do Sol (1991)
ミルトンを聴くということは彼のハイノートを聴くということだと思う。だから、声に衰えを感じる最近のアルバムは聴くことができない。新作を首を長くして待っていた、この頃が懐かしい。

12. The Fool On The Hill
(29) The Beatles: Magical Mystery Tour (1967)
ポールが吹くリコーダーが効いている。フルートとバスハーモニカ(ジョンとジョージが吹いている)をからめたアレンジも秀逸。ビートルズは外部の演奏家を呼べばすむことを、なるべく自分たちで演奏をしようとしたバンドだった。
(30) The Singers unlimited: A Capella (1973)
本日、三回目の登場 ! このアルバムのなかでビートルズナンバーが中心となっている。
(31) Tony Williams: Young At Heart (1996)
Mulgrew Miller (p), Ira Coleman (b), Tony Williams(ds)
1960年代のマイルス・バンドのリズムの要であったトニー・ウィリアムスだけど,1970年代以降のシーンでは中心に位置することなく早々にこの世を去った。高い音楽性を有することが、シーンのリーダーシップにつながらない好例になってしまう悲しさ。結局、こんなさりげないジャズで味を感じたりするんだよね。もっとも優れた音楽家のパネルが貼りつけられているアトランタの空港で、トニーのパネルを見つけたときは嬉しかったけど。(アトランタ出身じゃなくて、ボストン出身にも係わらず)

※ その他、Kが好きな『Magical Mystery Tour』収録曲。
「Penny Lane」,「Strawberry Fields Forever」, 「Magical Mystery Tour」「Your Mother Should Know」

H. The Beatles (White Album)
ビートルズは「アップル」という会社を立ち上げた。通称「ホワイトアルバム」と呼ばれる真っ白いジャケットのこのアルバムは、新会社アップルからの最初のアルバムという意図が込められていたのだろうが、この会社がビートルズ解散の火種をつくったと言われる。ホワイトアルバムの制作中に、リンゴが一時ビートルズを脱退するなど、ビートルズの解散へのカウントダウンが始まっていた。

13. Blackbird
(32) The Beatles: The Beatles (White Album)  (1968)
ポールが天才なのは、この「Black birds」も「Yesterday」も「Michelle」も「Hey Jude」も「Let it be」も、とてもシンプルな曲で、過去にもあったようでなく、結局、これから先にも、こんなシンプルな名曲は生まれないだろうというような曲を次々と生み出していることだ。アコースティックだけの曲だが、足もとにマイクを置き、歌いながらリズムをとって床を鳴らす音を打楽器にしてしまっている。そういうひらめきも天才だ。
(33) Bir?li Lagr?ne: Duet (1999)
 Bir?li Lagr?ne , Sylvain Luc (g)
ロマ(ジプシー)のギター奏者ラグレーンとリュックによるギター・デュオ。ボクはデュオが大好きなので、すでに2回くらいジャズ会で流したような気がする。曲調とよくマッチしているよね。このアルバムの発売元であるフランスのDreyfusレーベルは大好きなで、こんな感じの好盤が多いのです。
(34) Jaco Pastourious: Word of Mouth (1981)
Jaco Pastorius(b), Herbie Hancock(p), Othello Molineaux, Leroy Williams, Jack DeJohnette, Peter Erskine, Don Alias(perc,ds),Toots Thielemans(harm), Michael Brecker, Wayne Shorter, Tom Scott,(ts) etc.
フレット・レス ベースの創始者であり、当時ウェザー・リポートの人気者であったジャコの大作。カラフルな打楽器、幾重にも折り重なる多様な楽器が複雑な音色をつくりだす。Blackbirdの旋律はハーモニカのシールマンス。とても格好良く仕上がっている。このアルバムの販売不振(売れないよねえ,この内容じゃ)やコカイン・アルコールにより,精神的に変調をきたしたジャコ。活躍した期間は10年弱と思いの外、短かった。1980年代半ば、新作を待ち続けていたボクに届いたのは、新聞の短い訃報(撲殺、腕もへし折られていたベーシスト)だった。
(35) Dave Valentin: Dave Valentin Live at the Blue Note (1988)  
プエルトリコ(だったかな)出身のフルート奏者。軽快が身上。デイヴ・グルーシンとラリー・ローゼンが作ったレーベルGRPらしい、ポップな仕上がり。

※ その他、Kが好きな『The Beatles』収録曲。
「Back In The U.S.S.R.」, 「Piggies」, 「Helter Skelter」,「Honey Pie」, 「Good Night」

I. Let It Be (1970)
身も心もバラバラになっていたビートルズだが、ポールの提案で、原点に帰ることをテーマにスタジオにはいり、その一部始終をドキュメンタリーとしてカメラにおさめるという企画が"ゲットバックセッション"と呼ばれる。結果としてビートルズは修復不可能であることを世の中に知らしめることとなる。収拾すべく伝説的なプロデューサー、フィルスペクターが最終的に編集し『Let it be』となるが、ポールが提案した"原点に帰る"という趣旨とは真逆の手を加え過ぎオーバーダビングにポールは激怒することとなる。

14. Across The Universe
(36) The Beatles: Let It Be (1970)
ジョンらしいだるく幻想的な曲。世界野鳥動物保護基金のための曲となり、鳥のはばたく音があとから加えられた。
(37) Toninho Horta: Durango Kid (1993)
MPBのミュージシャンがぞろぞろ出てくるあたり、ブラジル・ポップスに対するビートルズの絶大な影響がわかる。トニーニョの弾き語りの一枚。多くのトニーニョのアルバムのなかでも好きな一枚。ミルトン,ジョイストニーニョって,みんな仲間なんだよね。

15. The Long And Winding Road
ポールはこの曲をピアノ弾き語り曲として料理しようとしていた。結果的にはプロデューサーのフィルスペクターが編集段階でオーケストラを起用しストリングスを大量導入した。これにポールが切れた。ビートルズ解散の原因は、小野洋子とフィルスペクターだと言われる。
ポールのイメージに近いリハーサル音源と、最終的な仕上がり音源を聴き比べてみてください。あなたは、どちらがお好きですか?
(38) The Beatles: Let It Be (1970)
(39) The Beatles: Let It Be Naked (1969)
カヴァー曲なし。

※ その他、Kが好きな『Let it be』収録曲。
「Let It Be」、 「Get Back」

J.Abbey Road (1969)
収録は『Let it be』→『Abbey Road』という順だが、『Let it be』がそういうわけでもめたので、『Abbey Road』→『Let it be』の順で販売されることになった。ビートルズは身も心もバラバラになってしまったが、『Abbey Road』をビートルズ最後のアルバムとして、ビートルズに扮して制作をした。結果、世界一の名盤が生まれた。

16. Here Comes The Sun
(40) The Beatles: Abbey Road (1969)
ジョージの曲。「Something」といい、ジョージは最後の最後で大名曲をつくった。クラプトンの家で日向ぼっこをしてできたという。
(41) George Benson: Other Side of Abbey Road (1969)
編曲が「多分」ドン・セベスキーなのだけど、唄声に焦点をあてたので、なかなか渋い仕上がり。1969年時点で後年のブラック・コンテンポラリーになっている。それにしてもAbbey Roadと同年にこれを出したプロデューサーであるクリッド・テイラーの商売気には脱帽。半端じゃなく偉い。だからジャズ喫茶的評論家には白眼視されていたと思うけどね。

17. Because
(42) The Beatles: Abbey Road (1969)
ヨーコがベートーヴェンピアノソナタ"月光"を弾いているときに、ジョンがチョンチョンとかいた曲。ジョンとポールとジョージが同時に歌う。それを3回くりかえす。つまり9声によってこの曲は彩られている。
(43) G?ran S?llscher:  Here, There And Everywhere - G?ran S?llscher plays The Beatles (1995)
K君持参のアルバム。DGのアルバムなのだけど,どうもリュート奏者らしい...ボクは知らないヒト。

18. Golden Slumbers
(44) The Beatles: Abbey Road (1969)
アルバム『Abbey Road』は、全編をとおした組曲として成立しているので、本来的には1曲単位で聴くのは間違っている。この「Golden Slumbers」もこの曲だけで聴いてももちろん名曲だが、次に続く「Carry That Weight」そして「The End」のセットで組曲はフィナーレを迎える。
(45) Helen Merrill   Helen Merrill Sings The Beatles (1970)
本日、二回目の登板。

19. Come Together
(46) The Beatles: Abbey Road (1969)
(47) 桑田佳祐:メリー・クリスマス・ショー(1986)
1986年のクリスマス、桑田佳祐がつくった伝説的な音楽番組「メリークリスマスショー」。これだけお金をかけたお遊びは、もう二度とできないことでしょうが、お金のあるときにそれをやってのけた桑田佳祐もやはり天才。オープニングに「Come Together」を曲を実にうまく使っています。(文責:K君)

※ その他、Kが好きな『Abbey Road』収録曲。
「You Never Give Me Your Money」,「Something」,「She Came In Through The Bathroom Window」

おやすみなさい。