旧居のベランダから見た竹藪のうえの空、曇だけど強い風に吹かれ蒼い空が時折みえる。 いい気分。最後の荷出しを今日終えた。 憑き物が落ちたように、身軽な気分になった。
この10日ばかり、仕事と引越が錯綜する日々だった。だから、ある種の思考がぴったりと止まって、手やアタマを休めたくなると酒ばかり呑んでいた。そんな日々を過ごしながら、2年半の間住んだ犀川の南・寺町台地の上にある泉野の借家を後にした。昨日の朝までの好天が嘘みたいに再び冬が還ってきた朝に、後にした。
旧居の玄関口からは医王山から卯辰山、さらに宝達山まで見える。それに空が大きくて広い。随分と気に入って住んでいた。が、すきま風が吹いて、冬は寒かった。だから荷出しの間、震えながら部屋の隅で見ていた。光は射し込むのだけど。強風に煽られた竹からの乱反射で、なんだかキラキラした印象で最後を締めくくった。だから、少しだけ後ろ髪を惹かれるような気分で、犀川の北、河岸段丘の一段目のうえの転居先へ向かった。もう部屋からは卯辰山は見ない、と改めて思った。