K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

日野皓正: Hino At Berlin Jazz Festival '71 (1971) 植松孝夫のテナーを聴きたくなったら

 ちょっと前の記事で書いたのだけど、30年前にFM放送のセッションで聴いた植松孝夫が忘れられない。カセット・テープに入れて、何回も聴いていた。日本の奏者がコルトレーン晩年のアノ感じ(ボクは好きじゃない)を消化して、日本のジャズに昇華させたようなプレイだと思う。カセット・テープを聴くことができなくなったとき、破棄したのを今でも悔やんでいる。

 だから、今、彼のテナー・サックスを聴きたくなったら日野皓正のベルリン、そのB面を聴く事にしている。勿論、日野のアルバムなのだけど、植松のテナーは単なるサイドマンよりも遥かに力強く、双頭バンドと思わせる力がある。それに楽器の響きがボクの好みにぴったり合う。70年代の日本のジャズはいいなあと改めて思う。B面のOde To Workmanは日野、植松、杉本が怒涛のブロウ。日野がややフリーキーに過ぎるのだけど、植松のどっしりした流れが気持ちよい。その後のAlone, Alone And Aloneは日野と杉本のデュオ。観客の歓声の中、動から静へと遷移する様子がエレガント。

 さてA面だけど、アブストラクトを散らしたような感じで、熱気はあるのだけど、音が散ってしまう感じ。完全なフリーでもないし、中途半端な印象がぬぐえない。だから、これはB面専用のアルバム。

 随分と御茶ノ水界隈に行っていないのだけど、植松孝夫のリーダアルバム(TBMとかVictor)が手に入らないかなあ、と気になるこのごろなのだ。

参考記事:

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日野皓正: Hino At Berlin Jazz Festival '71(1971, JVC)
   A1. Introduction
   A2. Birth Of Action
   A3. Cycle Circle  
   B1. Ode To Workman  
   B2. Alone, Alone And Alone
日野皓正(tp), 植松孝夫(ts), 杉本喜代志(g), 池田芳夫(b), 日野元彦(ds)