K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Donald Byrd: Fancy Free (1969) もうひとつの主流(メイン・ストリーム)


 いつだったか、近所のS君のレコード棚を漁っていたら、ドナルド・バードのアルバムを数枚見つけた。昔から意識には留まっていたけど、バップ期の演奏しかしらなかった。聴きはじめた30年前はポップ路線に転じてジャズの聴き手には見えない存在のようになっていた。要はSJ誌の焦点から外れていた、ということだけど。

 何となく気にかかっていたこと、もあって、取り出して聴いてみた。Fancy Freeの盤面から広がる音の豊穣さに打ちのめされた。その名の通り、birdならぬbyrdだけど、飛翔していく音の爽快感。ハンコックのspeak like a childが通奏低音のようなアルバムだけど、デューク・ピアソンが弾くFender Rhodesの彩りが楽しい。もうひとつの主流(メイン・ストリーム)が目の前に広がったような気がした。意外感から、ある種の音楽ジャーナリスト達が作り上げたマイルス史観の呪縛のもとに、未だ自分が立っていることを改めて知った。

 そんな経緯があって、注文したLPレコードが昨日届いた。2回目に聴いても印象は変わらない。ただ、1回目と2回目の間、僅か半月くらいの間だけど、ドナルド・バードがこの世を去った。雪の朝、S君からのメッセージで知った。あんまり意味が無いけど、彼が存命のうちに存在を認知できて嬉しかった。

 このアルバムは勿論、ブルーノートブルーノートたる要件、ライオン在籍期のアルバムではない。だからピアソンがプロデュースしているのだけど、そのカラーも極めて好ましいものであることを知った。ピアソンのアルバムも同時に入手したのだけど、やはり「もうひとつの主流(メイン・ストリーム)」である印象。少し、この辺りを掘ろうかな、って思ったりしている(レコードを探すって意味、やれやれ)。

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Donald Byrd: Fancy Free (1969, Blue Note)
   A1. Fancy Free
   A2. I Love the Girl
   B1. The Uptowner
   B2. Weasil
Donald Byrd(tp), Frank Foster(ts,ss), Julian Priester(tb), Lew Tabackin (#A2, B2), Jerry Dodgion (#A1, B1) (fl), Duke Pearson(el-p), Jimmy Ponder(g), Roland Wilson(b), Joe Chambers (#A2, B2), Leo Morris (#A1, B1) (ds), Nat Bettis, John Robinson(perc)