K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Derrick Hodge: Live Today (2013) 熱くないグルーヴ感もまた

 熱くないグルーヴ感もまた、良いものだと思った。これが21世紀のオト、ということならば、21世紀というものはとてもしっかりと構造化され、見通しが(感覚的な階層の)上にも下にも良い、とても賢くスマートなものだと思った。決して否定的な意味合いでなく、ごく自然に身体に流れ込んだオトを聴いて、そう思った。Glasper一党なのだけど、Glasperのアルバムよりも、奏者としての存在感が強く、ボクにはよりジャズとしてシックリくるような気持ち良さ(ムカシからの語法を踏襲している部分が多い、という意味で)がある。だから、仕事場で音量を落として、ずっと流している。そして、熱くないグルーヴ感もまた、良いものだと改めて思った。

 最初に聴いたときは、太いベースのオトにBonaを思い出した。その感覚は、よく考えて創られたオトであることを認知したときには霧消した。そんなに自然なオトではなくて、もっと考え抜かれたものだと思う。そんな意味で、10年くらい前に聴いていたMcBrideのアルバムに通底するものがある。McBrideの場合はジャズという「伝統的なカテゴリ」のなかで煮詰まっていった感覚があるのだけど(だから4作くらい聴いて途切れた)、そのような「カテゴリの檻」から放たれたような清々しさ、がこのアルバムの持ち味だろう。それはGlasperと同じ。だから、それ故の印象の希薄化と裏表なのだけど、奏者としての存在感が「ジャズ」であることをしっかりと刻印していること、が紛れもない魅力だと思う。

 

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Derrick Hodge: Live Today (2013, Blue Note)
  1. The Real
  2. Table Jawn
  3. Message Of Hope
  4. Boro March
  5. Live Today featuring Common
  6. Dances With Ancestors
  7. Anthem in 7
  8. Still The One
  9. Holding Onto You featuring Alan Hampton
10. Solitude
11. Rubberband
12. Gritty Folk
13. Doxology (I Remember)
14. Night Visions (bonus track)
Derrick Hodge(b), Mark Colenburg, Chris Dave(ds), Robert Glasper, Aaron Parks, James Poyser, Travis Sayles(key), Jahi Sundance(Turn Tables), Keyon Harrold(tp),, Marcus Strickland(ts, ss), Corey King(tb), Common, Alan Hampton(vo), Casey Benjamin(Vocoder)