寒い。時折、雪すら舞う。4月のはじめは、いつもそうだ。鎌倉に居たときに感じた、包み込むような温み、のようなものはない。
寒さを突きつけられるような厳しさの中で、花が咲く。そんなことを新鮮に感じたのは、もう4年も前のこと。早いものだ。
金沢の桜、は染井吉野の率が高くない。だから、未だ早春とも云えない寒い3月末から4月末まで様々な桜が気紛れに咲く。それが楽しい一月をすごす。今年は仕事に集中していたこともあって、気持をそちらに切り換えることが遅れた。気がついたら、咲き始めていた、だけでなく、そのことに何も感じていない自分に驚いてしまった。何処のギアを入れたのだろうか。
まあ、そんなことを驚いても仕方が無いので、夕暮れ頃から桜を見に、散歩に出かけた。
大好きなめぐみ幼稚園の園庭。寂しげ、ではあった。
二十人坂。暗闇になると少々怖い坂。昨年の桜の頃、自転車で下って、何かに足元をすくわれた。
慶恩寺のしだれは、お仕舞方。カイラスに通じるお寺なのか、っていつも見上げている。
金沢に来た最初の春、慶恩寺に誘い込まれた不思議、を思い出した。
石引のあたり
金沢城へ
石川門の上から
兼六園へ
新月を僅かに過ぎて
卯辰山を臨む
医王山を臨む。そう思い出した、白い山嶺と桜をみた十数年前、金沢に来ることを決めたことを。